第13話 宇宙船を引き取りに来れば

 新しいロストチップは様々なメーカーの物だったが、どれも最高級品と名乗るのにふさわしい性能を持っているとのことだった。それに特別な生体用ロストチップもあったらしい。

 もちろん、これらのチップの性能は楓に使われている2つのチップに勝るとも劣らないと言うほどだった。

 今の段階だと物理的なプロテクト処理がされていないので購入した機器で読み込むことが可能だと言うことで、急遽、このロストチップを読み込ませて設計図を読み取った。

 

 もちろん、この取り終わったチップは物理テクプロテクト処理の為にロストテクノロジーの機器がある部屋に戻されて、部屋をクリーニングされクリーンルームを作り出してからプロテクト処理がされていった。

 読み込んだロストチップの中に軍用のコンピューター用のチップがあった。

 楓はまた、発掘品の機器の倉庫の中に入り込んで色々と探しているようだ。

 完全に壊れたように見える機械でもニコイチ、サンコイチで使えるようになるのでそれらは故障の度合いによって分類されていった。


 そんな中、製造していた宇宙船が完成したので受け取りに来てくれと言う連絡が来た。

 楓に手に乗るサイズだが高性能な嘘発見器を持たせて楓と俺と弁護士で帝国の主都星へ宇宙船を見に行った。

 宇宙船は首都星の近くの大手のタイタン社の宇宙ドックの中に仕舞われていた。

 完成したという宇宙船は空間圧縮技術がまだ作動してないのか巨大に写る。

 その宇宙船に案内して貰うと、色が塗られていた。

 

 設計図の注意書きに塗装せずにと書かれていたにもかかわらずにだ。

 何故かというと、色は外殻に使われた新素材の材料は表面に電気を流すと色を変えて1分間電気を流し続けるとその色に落ち着くという特性と塗装されれば腐食性が弱くなると言う弱点があったからだ。

 この点も注意書きには記されている。

 それにもかかわらず、塗装したと言うことは設計図を見ていないかやましいことがあるかだと思う。

 これは厳しく見て回らなきゃな!


 案内されて見回ったが、設計図と違う所は素材と縮小技術が使われているのか分からないぐらいしか見当たらなかった。

 ただ、気になるのは医療カプセルを調べようとしたら邪魔してきたのが気になったのでそれを確かめに行く。

 医療室に寄り、医療カプセルを起動させて型番と製造番号を聞く。

 そうすると、俺達が頼んでいた高性能の高級品じゃなく低性能の粗悪品だった。

 さすがにこれは見逃せないと案内人を呼び事情を聞くことにした。


「案内人さん、まずはあなたの名前を教えて下さい」

「な、何故ですか?名前なんてどうでも良いじゃないですか」

「案内人なら名乗るのも仕事の内ですよ?」

「わかった。私の名前はタイタン社のワン・タンだ」


 楓を見ると嘘は言っていないと頷いてくれた。


「ワン・タンさん、何故この医療機器が指定のメーカーや型番も違うのですか?」

「それは……ミスだったと聞いている」

「ミス?」

「ああ! 本当なら納品されない所に納品され、納品されるはずのない物が此方に来たという話を私は聞いている」

「だからって医療室の確認の邪魔してどうにかなるものでもないでしょうに」

「それが……今日を過ごせば新しい注文通りの商品が来て交換する予定になっていると社長から直接聞いたのでそれを信じて邪魔をした」


 これも楓を見ると嘘は言ってないようだ。


「それが嘘だった場合、あなたも共犯者の一味になりますよ」

「そ、そんなことになるとは思わなかったんだ。知ってることは何でも話すから許してくれ!」

「それじゃ、あんたが知っている範囲で俺達が持ってきた設計書と違ってる箇所を教えてくれ」

「……それが今日、説明係に急に任命されて殆ど何も知らないんだ。医療室のことは社長が口を滑らせていったから知っていただけで……」

「じゃぁ、他に社長が口を滑らせたことはないか?」

「あ!そう言えば爆薬がそう個室の床一面に敷いてあるとか。何でそんなことになってるんですかと聞いたら注文主あなたの趣味で自爆は男のロマンだと訳分からんことを言ってたが、従うしかないのがメーカーの悲しさと社長が言っていたな」

「そんなこと言ってないし、爆薬強いて寝る気も無い! 至急、その爆薬を除去しろ!」

「え! そしたら社長が嘘言ってたんですか?」

「あんたの話が本当ならそうなるな」


 そう言って俺は楓を見ると今の所は嘘を言っていないようだ。


「それじゃ、社長に連絡取って今までのことを本当か確かめてみてくれ。相手の映像は最高画像でスクリーンで大きくな。壁と自分だけが画面に映るようにしてくれ。録画もしてな。弁護士の先生も証拠の承認判定記録を申請して録画してくれ」

「分かった」

「それじゃ、社長に連絡します」


 そう言って。ワン・タンは社長に連絡をしたようだ。

 連絡音が鳴っていき、社長と一緒に会長も姿を現した。


「あ! 社長に会長! お世話になっています。ワン・タンです。今、社長から案内係しろと言われた客が来ているんですが、あれが違うこれが違うと言って設計書と違うと言ってるんですがどうしましょう?」

「何でも設計書通りに配管といかないと言ってしのぎたまえ」

「それが……外殻塗装の兼と医療室の検査の邪魔をしたら余計に疑われてミスして入れ替わった医療カプセルの事がバレて不信感を持たれているんです。どうしましょう」

「外殻塗装?ミスして入れ替わった医療カプセル?」


「本来のあの素材なら外殻塗装しなくても良いはずがしたから腐食性が弱まったと言ってきています。また、本来なら型番が高級な医療カプセルが来るはずがミスで入れ替わって別の機体に行ってしまったと社長から聞きました件です」

「ああ!あれか、注文主はどう言ってる?」

「医療カプセルは社長が言っていた今日か明日にも本来の医療カプセルが届くという言葉を一応信じてるみたいですが、大丈夫ですよね? それと外殻塗装はどうしましょう?」

「もちろんだ、その事は会長も知っている、ねぇ、会長」

「ああ!その通りだ。外殻塗装は注文の素材の腐食性を高める塗料だと言っておいてくれ。」

「それは本当ですか?」

「ああ!本当だとも。会長の儂と社長のこいつが保証するしなんなら当社タイタン社の意思と言っても良い」


「それから倉庫床面の自爆要の爆薬ですが、こちらの計画書には載ってませんが本当に注文主からの依頼で自爆はロマンだと言って変更になったのですよね?」

「ああ!急な変更だったからそちらに間に合わなかったのだろう。此方には来ておる。心配するな。会長の儂が保証する。これも会社の意思でもある。タイタン社の意思印付きの保証書を出しても良いぞ! ほれ、会社意思印だ! っと見せても普通のネット連絡なら意味は無いか。なぁ、社長よ」

「はい。会長。それより、まだ軍はエンジンと武装関連にコンピューター室の警備を解かんか?」

「はい。まだ厳重に警備したままです」

「そうか。う~む。困りましたな。会長」

「そうだな、社長」

「何かお困りでしょうか?」

「ああ!こっちの話だ。医療カプセルについては遅くても明日には交換できると伝えてくれ。じゃあな」


 そう言って連絡は切れた。


―――――――――――――――――――――――――――――

次回の内容は拭き取りです。

色々と怪しい社長だが、条件を付けて引き取って彼方此方で資材を補給したりするよ。

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