第3話 バイオロイド
コン・マンが捕まってから分かった事があった。
俺の会社の社長も社員の一部もグルだった。
それどころか、文字化けだらけの書類は偽装をした保険金の書類で殺そうとした主犯と言っても良い程に事件を主導していた。
まぁ、怪しい書類を書かされて毎回コン・マンが要る時に限って宇宙船を指定される等怪しいなとは思っていたけど、事実が明らかになると結構来る物がある。
それはそれとして命を狙われた身としては刑事事件で証人になってちゃんと思う事全て言って、民事を起こして慰謝料+殺されそうになった恐怖で心に傷を負ったと言いその分を上乗せして貰った。
そういえば証人になった時に嘘発見器で証言するんだが、その時に宇宙船キャノンボールに当たったのはあなたですか? と傍聴席から聞こえた。
俺に言ってると俺を指さすとその傍聴人は頷いて思わず誰か当たったんですか! と聞くと嘘発見器も作動しなくてこいつじゃ無いと思われて質問を無視された。
裁判長から傍聴人は”証人に質問しない様に! 証人も質問に答えないように”と言われた。
何だったんだろう、あれは。
それはそうと、3回の航海を1人で遠距離操縦させられた俺には会社が俺に支払わなくてはならない金が罰則として正規の10倍ある。
通常は一航海当たり仮眠があるとは言え24時間勤務でそれを2ヶ月で80万エネル、それが3回×10倍の2400万エネルを支払ってもらう事になる。
それ+給料が半年以上支払わなければそれ以降の給料も含めて罰金として給料を5倍にして支払わなくてはならない。
この2つのコンボが炸裂した結果、延滞している給料10ヶ月分(内6ヶ月分は1人で遠距離操縦をさせられた分)仮眠ありで24時間勤務だから基本給40万エネル×5×4+80万エネル×5×3×10=12800万エネルになる。
それ+慰謝料が掛かってくるのでもっと金額がでかくなる。
◇
帝国の法律だと給料や慰謝料は優先的に回収される事になっており、今回もその対象だ。
俺は給料を現金で貰い、隠し資金がある社長専用の最近購入した高級中型宇宙船とそれに乗っている物全部を自分の物にする事にした。
そしてその事の確認書を債権者と政府の執行委員全員に署名して証明して貰う。
債権者は署名を渋って中を捜索した後なら署名すると言ったが、その場合はこの会社の唯一の巨大資産である豪華客船に変更するというと快く署名してくれた。
現時点で評価額に足りない慰謝料は社長や社員の一部にコン・マンが強制労働等で支払う事で決着した。
これも役所手続きがされているので後から慰謝料よりも高い物が出てきたとしても返済額に変更はなく、社長達は弁済の金額は変わらずに俺の儲けになる。
事件の後片付けも一応すんで、俺は社長の物だった高級中型宇宙船にあるであろう隠し資金を探している最中だった。
宇宙船のコンピュータには所有権が移って俺の物になった事は債権者の署名も含めて証明してコンピュータもオーナー手続きをしているから、前オーナーの社長が怪しい行動をした場所全てを教えて貰って隠し資金を探しているって訳だ。
既に怪しい場所はあらかた探して隠し資金も10億エネル見つかったが、ここの前に大きなスペースがあるのに入り口が何処にもないのが怪しい。
それで3日間程かけて調べた結果、壁の床の近くに小さな穴があるのを見つけた。針金で穴を押してみると、壁の一部がパカンと開き、船のマスターキーを入れる穴が見つかったまでは良かったのだが、穴にマスターキーを入れても何の反応もないので困った。
仕方が無いのでマスターキーの変わった形状に何かヒントは無いかと思って宇宙ネットで画像検索をかけてみると、仕込み銃や芸術品等が出てきた。
諦めかけながら見回っていくと、遙か昔の地球世代の中に鍵と言う物があった。形状はこれが一番似ていた。
鍵は穴に入れて回して鍵を閉めたり開けたりするらしい。
そうか!もしかして回すのか!でもそんな事して鍵は無事なのか?普通、マスターキーに限らずキーと言えば電子キーが中に入っているので差したら認証が終わるまで抜くなと言われて育つ。
だから回すなんてそんな発想、今の人間には普通は出てこないぞ。
そういや、元社長は骨董品好きでもあったな!
マスターキーを穴に入れて回してみる。すると四分の三程回った所で止まり、認証を開始する光が光り出した。
そして目の前の壁が横にスライドしていった。
目の前には生命維持装置に入ったバイオロイドがあった。まだ、支払いなどが終わっていない時はメーカーの物なので姿を見えなくなる曇りガラスの様に曇っていて見えないが、これは所有権が此方にあるという証拠に透明で中身が見えた。
このバイオロイドはオーナーが手を付けていない事が初期オーナー登録を促す装置がある事からうかがえる。
バイオロイドのシリーズ名とクラスを宇宙ネットを脳内で調べてみる。
すると、数億~数十億円のハイエンドモデルでしかも特注品だというのが分かった。少なくても中堅会社の社長が簡単に手を出せる金額じゃないのは確かだ。
おかしいなと思って、バイオロイドのオーナー認証設定が起動した時を調べてみると、俺が宇宙船のコンピュータに所有権が移って俺の物になった事を債権者の署名も含めて証明した時刻の物だった。
成る程、このバイオロイドは船のコンピュータに管理されていてメーカーのお偉いさんの署名と公式文章があるから所有権が俺に移ったって証明されたので俺の物になったって事か!
そうと決まれば早速オーナー登録をするぞ。
手の指をこの指の形状をした穴に入れれば良いんだな。
人差し指を奥まで入れた所、指先にチクッと痛みが走った。遺伝子を採取しているのだろう。
指を入れた穴が赤から青に変わったので指を出して見ると指先から少し血が出ていたが、すぐに止まった。
そして生命維持装置から液体が装置の下の保存液収納場所にしまわれて扉が開き、15歳くらいの少女の目が開いた。
「初めましてマスター。LT-KS01と申します。末永くご愛好下さい」
あれ?生命維持装置に書いてある番号と違うぞ。どういうことだ?
―――――――――――――――――――――――――――――
次回の内容は型番違いのバイオロイド、ポンコツかと思いきやロストテクノロジーが入ってる非売品だった。まさしくジャックポットです。
拙い出来ですが旧作も読んで頂ければ幸いです。
能力者が現れたと思ったらダンジョンも出てきました。これは・・・・・・商機ですね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます