第4話 ジャックポット

 あれ?生命維持装置に書いてある番号と違うぞ。どういうことだ?


「生命維持装置に書いてある機体番号と違うんだが何でだ?」

「あれ? 何ででしょう? 見せて下さい」


 そう言ってLT-KS01は生命維持装置を見る。番号を確認すると考え出した。


 「もしかして実験機の為に初期動作確認の為に起こされた記憶があるのですが、その時に隣のベットに居た子と取り違えたのかもしれません」


 マジかよ!実験機かよ!運悪いんじゃないか俺?

 そう思っていると、LT-KS01が言ってきた。


「そう落ち込まないで下さい。逆に考えれば運が良いですよ!

 だってLT-KS01はLTはロストテクノロジーのLTでKSは究極チップのKとSは至高チップのSです。

 お金を出しても変えない高級ロストテクノロジーチップが2個ついた上にKチップとSチップが喧嘩しながらも両方自分の性能を100%以上発揮出来る遺伝子を設計した生体コンピューターの脳を持った実験機ですので性能は折り紙付きで軍の高級特殊電子戦専用船にも楽勝です!」


 と言ってきた。それが本当ならついてる所の話じゃないな!


「とりあえず所有者登録してしまったのなら仕方が無い。LT-KS01と言うのも何だからこれからは楓と名乗れ」

「わぁ、新しい名前ですね!分かりました。これからは楓と名乗ります!」

「それはそうと、自分が誰の物かの所有者登録をしっかりしとけよ?」

「はい。もうやっています」

「それはそうと、生命維持装置にある着替えを着てくれ。いつまでも裸じゃ困る」

「あ! これは失礼しました! 至急着替えます」


 さて、会社の寮から追い出されて一時的に契約したアパートにでも行くか。

 アパートに着いて、楓と一緒に部屋に向かう。


 ふと、脳内の宇宙ネットワークに着信が来た事を知らせる音が鳴った。

 見てみると宇宙船キャノンボールでジャックポット……1等が当たった事を知らせるメールだった。

 遅れた理由は嫉妬した社員が隠蔽を図ろうとしたのと、当選証明書を電子ペーパーで発行して宝くじを運営する省庁に事情を説明して、放棄の期間を延ばしてくれる様に交渉したそうだ。

 勿論、隠匿しようとした社員はポリスに捕まって金額が金額なので賠償金が凄い事になるそうだ。これはその社員を雇っていた会社も同じだった。

 それで、遅れたせめてものお詫びと言う名のアピールに税務署に電子ペーパーを送って証明する作業をお詫びにやってくれた為と書かれていた。

 ここでタロー・コバヤシの脳みそはぶっ壊れた。所謂大規模宝くじ馬鹿になったのである。

 

 

 ここで宇宙船キャノンボールについて詳しく話したいと思う。

 宇宙船キャノンボールはその名の通り、当たったらそれまでのキャリーオーバーした金額で船を作って貰える宝くじである。

 ここまでなら先行組とは言え普通の宇宙船宝くじと変わらなかっただろう。

 

 それが変わったのが25年間1等が出なかった時に時の皇族がスポンサーに名を連ねて金額を倍にした。そして、軍が開発したり使用したりする兵器群や艦艇の一部を解禁させた。

 そして宇宙船に関係する物ならなんでも開発資金として使用できるようになった。

 宇宙船好きにはたまらない宝くじとなった。

 

 時は流れて、今度は今の俺が当たった時の宇宙船キャノンボールの話だが、軍の解析が終わった現在よりも高度な技術を持った異星人のロストシップを宝くじの賞品に皇族がしてしまった。

 軍はロストシップの中にも入れてなかったので外部からのスキャンで解析していた。

 なので当然抵抗したが、権力には叶わなかった。結局、解析は終わっているのだから良いかとなった。

 

 それが今から5年前にロストシップを誰かに強奪された。と言ってもロストシップを起動して強奪したのではなく、そのまま持ち去ったのだ。

 さすがにそれは想定していなかったが、仮にも軍が管理している巨大な物体をそのまま持ち去られるとは何事かという話になった。

 また、ロストシップを景品にした皇族もどうしてくれると軍に殴り込んできた。

 軍はロストシップの所有権は当選者に景品となった時点の時から譲りますと言ったが、物がないのでそれだけではすまない。

 結局、お詫びに5年前以降から軍の開発品や開発途中の品に全装備、宇宙船も含む全兵器を特許も含め使用でき、しかも全ての情報と軍と同じ性能・軍と同じ値段で購入する事が出来る権利を代わりに宛がった。

 そこに皇族が今の宇宙船キャノンボールの金額じゃ1隻所じゃない船を作れるのでそれにも適用されるよなと脅して軍の全面降伏で金額の続く限りいつまでも宇宙船を作り、軍の全兵器を軍と同じ価格で購入できるようになったのだ。

 無理筋にも程がある話であるが宇宙船好きには極上の商品となってしまい、熱狂してしまった。


 タローが当たったのはそういう謂われがある宝くじだった。

 タローは考えた。今なら前の職場の賠償金と元社長の隠し財産の10億エネルに宝くじで当たった数え切れない程のお金。これのどれか1つだけでも短期合宿の一等操縦士になる事が出来る。

 楓はバイオロイドなのでもう1人分の授業料を払えば1等操縦士になれる。

 合宿場探さなきゃ。

 それに新しい船を作りたい!

 オーダーメイドの宇宙に2つとない宇宙船を!


「楓、俺は宇宙船キャノンボールの1等に当たったみたいだ。だから宇宙に2つと無い宇宙船を作りたいと思ってる。楓は一等操縦士になって支えてくれるか?」

「はい。それがマスタ-の望みなら。ついでに宇宙船や軍の兵器や情報にも詳しいので船を作る際のアドバイザーもしますよ?」

「え!マジ?それは大変助かる!是非ともお願いするよ! それと、俺の事はマスターじゃなくてオーナーと呼んでくれ」

「了解しましたオーナー。それで船はどんな風にしていきましょうか?」


 その日、俺達は船をどうするかの話で盛り上がった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

次回の内容は合宿だ!マニュアルでの操縦で一等操縦士を狙うぞ!

勿論、楓も来ます。

ご期待あれ!


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