第16話 今日、誰のために生きる?

『今日、誰のために生きる?』 ひすいこたろう×SHOGEN

 廣済堂出版 定価1760円


 今日は本のご紹介です。YouTubeでも紹介されているので、本を買わなくても宜しければ検索してみて下さい。

 私自身いつも見ているYouTubeチャンネル『TOLAND VLOG』さんに、この本の原作者である作家のひすいこたろうさんとペンキ画家のSHOGENさんがゲスト出演されている回を見てAmazonでポチッとしました。この本というか、ペンキ画家のSHOGENさんがアフリカのブンジュ村で出会った村長さんや村の方々との体験談がもの凄かったんです。

 

 SHOGENさんは化粧品会社の営業として7年近く働いているサラリーマンで、28歳の時実家の京都に帰る途中に立ち寄った雑貨屋さんで「ティンガティンガ」というペンキアートに出会います。一目見て「この絵が描きたい、これで生きていこう」と決め、その日の夕方にアフリカのタンザニア行きの航空チケットを買い、次の日に会社に退職届を出したそうです。

 アフリカに着いたSHOGENさんは後に絵の師匠となるノエル・カンビリさんに「俺の村で住みながら絵を描かないか」と誘われ着いて行きました。その村がブンジュ村です。


 ブンジュ村の村長さんのおじいさまはシャーマンでなんと夢の中で日本人とコンタクトを取り、幸せに生きる秘訣を教えて貰ったのだとか。その日本人は蟻と同じ目線になれる住居(竪穴式住居と思われる)で暮らしていて、女性(妊婦さん)を模った土器をたくさん造っていたのだそうです。彼らは自然を愛し自然に愛され、虫とさえ会話が出来ていた上に、一万四千年近く争いもなく平和に暮らしていた人々だったと。

 そう縄文人です。縄文人とは名乗らなかったそうですが、それは後世我々が勝手に付けた呼び名なので当然縄文人なんて呼ばれているとは思っておられないでしょう。でもこれはどう考えても縄文時代の日本人ですよね。

 ブンジュ村ではこの日本人から教えて貰った「幸せの三か条」というものが伝わっていました。


 ご飯が食べられることに、幸せを感じられるか

 ただいまと言ったら、おかえりと言ってくれる人がいるか

 抱きしめられたら、暖かいと感じられる心があるか


「この三つがあなたの中にあるんだったら、この村においで」

 ブンジュ村に着いて村長さんに挨拶に行ったSHOGENさんは一番最初にそう言われたそうです。

 おかえりと言ってくれるのは家族である必要は無いそうです。誰でもいいから「ただいま」と言えば「おかえり」と返してくれる存在がいるか、そういう環境に身を置いているのかが重要なんですって。

 この他にもこの村には日本人からの口伝(?)による素敵な教えが盛りだくさんで、しかもその教えを200人余りの村の誰もが実践しているというスゴい村だったのです。

 

 SHOGENさんは日本人ということで、このブンジュ村に来た初めての外国人であり日本人でした。

 最初の頃は「あなたは本当に日本人なのか」とか「今の日本人はみんなあなたのように心に余裕がない人ばかりなのか」と村のおばあさんに泣かれたりしたそうです。


 この本にはブンジュ村の人々がどのように暮らし、日本人(縄文人)に教えられた生活を愛おしみ楽しんでいるかが書かれていました。 

 SHOGENさんはブンジュ村で暮らしながら、村のみんなに、

「日本人の血の中に流れる素晴らしい記憶を呼び起こしてね」

と言われ続けています。実際1年半後に日本に帰って来てからは出会う日本人に片っ端から声を掛け、ブンジュ村での出来事と日本人の役割について語りました。

 ブンジュ村の話をし続けて9302回目に温泉の中でひすいこたろうさんと出逢い、作家さんであるとは知らずにお話をしてその後この本が発売されることとなった訳です。

 色んな奇跡が盛りだくさんの本当に素敵な本なのですが、私がこの本を読んで思ったこと、実際にやって見たことなどを書いてみようと思います。

 


『抱きしめるようにして話すんだよ』


 これはSHOGENさんがブンジュ村に住む三歳のザイちゃんという女の子に言われた言葉です。

 詳しくは本を読むなりYouTubeを見るなりして頂ければわかると思いますので書きませんが、

「言葉はね、相手をハグするように言うのよ。

 ショーゲンはお母さんから抱きしめられたことがないの?

 私が抱きしめてあげるね」

そう云って三歳のザイちゃんはSHOGENさんを抱きしめてくれたそうです。

「ショーゲンの言葉には、体温が乗っかってないから、私には伝わらない」って。

 ブンジュ村の子供達は、

「人と話す時は、その人を抱きしめるようにして話すんだよ」

とお母さんから教えられて育ちます。

 このあとSHOGENさんは村長さんから、

「三日後の夕日を見に行きなさい」

と言われます。それが今のSHOGENさんに必要な夕焼けだよ、それが「人が抱きしめられた時の心の色」なんだよと。

 その夕焼けは本当にとても優しくて暖かいサーモンピンクの夕焼けだったそうです。

 

 私は家のベランダに椅子を置きました。我が家は西日がもの凄いので夕方ベランダに出て椅子に座り、直視は出来ないので西日に向かって目を閉じてみました。 

 目の前には本当に暖かいオレンジとも赤ともピンクとも違う、優しい優しい色が広がりました。太陽の暖かさも相まって本当に抱きしめられているみたいでした。是非一度お試し下さい。


 SHOGENさんの絵が少しずつ評価されてオーダーが入るようになった頃、朝からお客さんに頼まれた絵を描いていました。これが売れたらお金が貰えると必死なSHOGENさんに村長が言いました。

「そこに喜びはあるの?」


「それは、自分のために描こうとしているのか?

 それとも人のために描こうとしているのか?

 人のために描くのはいいけれど、

 そこに自分の喜びもないといけない。

 人のためにやって人が喜んだとしても、

 自分がまったく喜びが感じられないんだったら、

 それはやめとけ」  


「ショーゲン、歓喜する人間になると、決めてほしい。

 自分らしく生きていく覚悟を決めてほしい。

 周りにそういう人がどれだけいるかで、人生は決まるよ」


 この言葉に私もハッとしました。

 こうして何かを書くという事を始めた時は、楽しくて楽しくてあっという間に時間が経ちました。そのうち誰かが読んでくれる、という喜びもプラスされて更に幸せになりました。でもそのうち少しずつ喜びだけではなくなっていることに、この村長さんの言葉で気がついてしまいました。

 小説家になりたい!とかこれで食べていきたい!などとは思ってもいないのに、それでも段々自分の中からあふれ出したものではなく、

「こっちの方が面白いのかな、この方がみんなにわかって貰えるかな、読んで貰えるかな、上手に見えるかな……」

 こんな事ばっかり考えるようになってました。

 そうなると書くことが全然楽しく無くなってきます。

 誰も読んでくれないと落ち込む。誰かと比べて自分は出来てないと落ち込む。こんな話面白くないと悲しくなる。

 そりゃあ自分で書いてて楽しくないものを、他の人が読んで楽しいわけないですよね。そんな当たり前のことを気づかずにぐずぐずと落ち込んだり悩んだりしてたんだなあ、と。

 いつか心の底から「楽しい!書きたい!書かずにはいられない!」と思えたとき、読んでくれた人も楽しんでくれるようなものが書けるようになるのかもしれないなと楽しみになりました。

 

 まずは自分を楽しませること。


 とにかくこれを徹底的にやってみようと思います。

 日本人の使命はそれからでないと果たせそうにないので。

 日本人の使命が気になる方は是非この本、もしくはYouTubeをご覧下さい。

 ちなみに

「今日、誰のために生きる?私は自分のために生きるね」

はブンジュ村の朝の挨拶だそうです。


「日本人こそが世界を真の幸せに導ける人たちなんだから」

 ブンジュ村の村長の願いを受け継いで、今、日本人一人一人に呼びかけ続けているSHOGENさんの思いをどうぞ聞いてあげて下さい。

 そして日本人としての血の中の記憶を少しずつ取り戻していけるよう一緒に自分のために生きていく覚悟を決めませんか?

 

 どうして自分が急に仕事を辞めたのか、私はこの本を読んで何となくわかった気がしました。


 今日の空も本当に綺麗で、私は今本当に幸せです。

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Beautiful World 大和成生 @yamatonaruo

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