第6話 推しの神様
左の膝が痛くなった。歩けないほどではないがずっと痛みが続く。年のせいかなあと思っていたが、あまりに長く痛みが続くので困っていた。
5月の終わり頃、大阪の豊中市にある「服部天神宮」という神社に行ってみた。
「服部天神宮」は足の神様として知られている。
主祭神は「少彦名命」
私は「古事記」にハマっており、中でも少彦名命様が特にお気に入りな事もあって、初めて神社に「お願い参拝」に向かった。
服部天神はどちらかといえば派手めで庶民的な神社だ。私はもっと原始的な感じの神社にばかり行っていたので、なんとなく新鮮だった。
「~からまいりました~と申します。左膝が痛いのです。何とかなりませんでしょうか?厚かましいお願いですが治りそうならどうかひとつ治してやって下さい」
と改めて文字にすると何だか不遜極まりないお願いをして神社を出てから、すぐ近くにあった「モスバーガー」で「モスチキンセット」を食べて家に帰った。
仕事を辞めた今、体調は完全復活し手も足も頭も肩も、どこも痛くない。左膝の痛みがいつ消えたのか良く覚えていないのだが、あんなに痛かったのに気がついたら全く平気になっていた。神社に行ってすぐ治った!と言えたらドラマチックなのだが、じわーっと平気になっていったので御利益がありましたーと自信満々に言えない感じもある。
でも、初めて神社でお願いして、その願いを叶えていただいたのは事実だ。あんなお願いの仕方を思えば、少彦名命様の御心の広さよ……さすが私の推しの神様。
少彦名命は海の向こう(常世の国)から天乃羅摩船に乗ってやって来た小さな神様。羅摩とはカガイモという多年生の蔓草のことで、カガイモの実を二つに割るとさやが船の形になるのだそうだ。医薬、温泉、穀物、知識、酒造など様々な性質を持つ神様で、大国主命と義兄弟になって一緒に国づくりをされた小人神。明るくいたずらっ子で踊り出したりとユーモラスな上、技術や知識も兼ね備えている、日本神話界の人気者である。
少彦名命様とは、この後も少なからぬご縁を勝手に感じている。うろうろと近隣の街を散策している途中で行き当たった神社の御祭神だったり、行ってみたいと思った旅行先の近くに少彦名命様の神社があったり(和歌山の淡嶋神社)
あと、図書館で有川浩さんの「だれもが知ってる小さな国」を見つけて、幼い頃ぶりに佐藤さとるさんの「コロボックルシリーズ」を読み返した際にも、スクナビコナの名前が出てきた(これは関係ないか)
とにかく勝手に好きです、少彦名命様。足治して下さってありがとうございました。これからもどうか偶発的推し活が続いていきますように。
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