第7話 縄文時代と妄想

 私が小学生だった昭和50年代は、戦後教育いわゆるGHQによる干渉後の教育で、基本「自虐思想」感の強いものだったと思う。日本は悪い国、日本は西洋に比べて劣った国、みたいな感覚が常にあった。

 歴史は何かが発掘されたり、発見されることによってどんどんアップデートされていく。「これが真実だ」と思っていたことも「やっぱり違いましたー」とあっさり訂正されていく。なので歴史に関しては、学校で教えられた後も自分自身でアップデートし続けていかなければならないものなのだなぁ、と最近は思っている。

 今ではYouTubeなんかでも歴史に関するものがたくさんあるので、色んな説が聞けるようになった。どれが真実であり正解であるかは、本当のところやっぱりわからないのだけれど、色んな発見や検証された結果の中から、自分はどう思うのかを探るのはとても面白い。

 学者ではないので「真実を知りたい」のではなく、「もしかしてこうだったのではないか」と妄想するのが楽しいのだ。だってわからないことはわからないのだから。

 

 戦前は神武天皇以前の時代は「神代の時代」とされていたが、戦後GHQによって神話教育が禁止されてしまったため、突如代わりに登場したのが「縄文時代」や「弥生時代」といった新たな古代の時代区分、それも日本独自の歴史区分だ。

 私が学校で教わった縄文人は「はじめ人間ギャートルズ」みたいなウホウホ感満載のイメージだったのだが、最近色んな本を読んで、縄文時代が1万4千年も続いた、争いのない平和な時代であった可能性があると知った。

 縄文人女性はお洒落でアクセサリーが大好き、衣服も動物の毛皮なんかじゃなく布の服を着ていたことが、縄文土器に付いていた布の繊維跡などからわかってきたそうだ。

 更に世界史では最古の文明は8千年前メソポタミア南部で築かれたシュメール文明だといわれているが、日本の岩宿で見つかった石器は、なんと3万年前のもの。しかも「磨製石器」だったというのだからびっくりだ。磨製石器というならば、それは人間が加工して作り上げたということだ。新石器時代が始まったのがシュメール文明があった8千年前だとしたら……おいおいおい。

 結局ヨーロッパの世界史との食い違いにビビった学会が無理矢理「打製石器」として扱うことにしたそうなのだが、写真で見る限り明らかに磨いてますけどー しかも黒曜石だぜー 「槍先型尖頭器」という群馬県の赤城山麓で発見されたこの石器。先っちょ、超尖ってますよー 石を打ち砕いた破片そのままの「打製石器」とは思えませんよー 機会があれば是非写真検索してみて下さい。

 そうなってくると俄然面白くなってくるのだ、縄文時代。このあいだ近くの考古博物館に行って縄文土器を見てきたが、あの美しい装飾、フォルムは豊かな文明なしには考えられないと思う。ただの壺やら入れ物にあんな凝った装飾をする必要ってなんだ?文化でしょ?!と素人は思っちゃうのだ。

 それから土偶を見ると私はいつも「防護服」を思い浮かべてしまう。もちろん土偶にも色んな種類がある。1万5千体以上出土しており30万体以上作られているといわれている。でも土偶の頭の後ろ部分に丸いこぶみたいなものがあるのを見たとき、被り物?と思った。中に入るんじゃない?っていうかその装備の模型なのかも……

 火山が噴火すればその噴煙の中にはガラスの破片みたいなものが含まれるという。それを吸い込めばもちろん人体に影響を及ぼす。もし、縄文時代に高度な文明があって防護服も存在してたら、そしてよりフッショナブルな防護服が様々にデザインされてたら……などと考えるのがすっごく楽しい。

 土偶は女性、しかも妊婦さんを模っているものがほとんどで、必ずバラバラにされて別々の場所に埋められているという。お産の際の呪術的なことに使われているのかなぁとも思うのだが、想像するのは自由なので独り楽しんでいるのだ。

 

 日本の考古学は昭和20年以降に一気に盛んになった。それまでは出土した土器や土偶を普通に売ったりしていたそうだ。海外に渡ってしまったものも多いという。

 そう考えると、GHQの教育政策のおかげで日本の考古学は飛躍したともいえる。万事塞翁が馬。

 これからもどんどんアップデートされていく縄文時代から目が離せません。そして勝手に想像することも止められないっ!いやー 熱いです!縄文時代!!

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