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屋台の肉串、めっちゃいい匂いさせてる〜。
「はは、腹が減ったな。食堂に行くが先に串を食うか?」
「そうだな!まず目についたものを食うぞ」
爺ちゃんとカルロスは屋台に走って戻っててて買った物を私に持たせてまた違う屋台に突撃してる。
「いくら何でも買いすぎね」
屋台や道行く人は大人から子供までいる。
この世界で若い人や子供を見たことがなかったからちょっと感動。
爺婆しかいない世界ってちょっと疑ってた。
爺ちゃん達の気が済んだらみんなで串焼きを食べた。まぁ日本の味が懐かしいな。これスパイシーだわ。
婆ちゃんが村に持ち帰る用の買い物をするって小麦粉、大麦粉、樽に入ってる調味料、塩、砂糖とか大量のだ。
「街にでる時は村の食料を買えるだけ買うのよ」
だからみんなが狩って来た獲物の素材全部預かってたんだ。
村は自給自足や思ってたけど全部は無理やんな。
「シルバさん、可愛い子連れてるね!おまけ入れとくよ!」
店のおっちゃんおばちゃんが可愛い特典つけてくれるんが結構あってびっくりや。
「ありがとう〜」
お礼言ったらめっちゃ頭ぐりぐり撫でてくれんねんで。
食料の買い足しが済んだら、服屋に行った。
何やろ、路面店みたいんが並んでるん。
「今日はルーノに初めて買うんだからちゃんとしたお店で買うのよ〜」
物珍しくてつい凝視してたら路面店突っ切って店舗型のお店が並んでる方に来た。
「あんた達は自分の服選んできなよ」
って婆ちゃんが爺ちゃんとカルロスを追い払った。
「俺たちもルーノに選びたかったのに」
うーん?爺ちゃんセレクトは何かいややわ。
「いらっしゃいませ・・・あらシルバさん」
「ハンナ、久しぶりだね!」
お店の中は少し落ち着いた感じでどうやら新品の服が飾ってある。高級店やろか?
「この子にいくつか見繕いたいの」
「まぁ!こんな可愛い子に着てもらえるなんて素敵だわ」
推定三十代のクルクル巻毛のハキハキお姉さんや。
すぐに店の奥引っ張られて着せ替えショーが始まった。
いつも着てるんは神様の初期装備でもろたやつ。数着あってハーフコートとシャツとキュロットが基本。何か防御と自動洗浄がついてる優れ物や。
動きやすいんが良いって言うとんのにフリフリしたワンピースとかいつ着るねん。
毎日爺ちゃん達に背負われ山だの川だの行ってんのに。
水色やピンクの可愛らしい服なんて初めてきたわ。
この辺りではちょっとお嬢様に見えるワンピースを三着と、膝丈パンツ、チュニックとか肌に優しい寝巻きと下着も買ってもろた。
「こんなに可愛いと際限なく選びたいわねぇ」
ニコニコと大きな麻袋に服を詰めて、
「ルーノちゃん、リボン入れておくから使ってね」
っておまけのリボンをいくつか入れてくれた。
「悪いわね、ハンナ」
「ありがとう〜や」
「こちらこそ〜また来てね」
婆ちゃんがアイテムボックスに荷物を仕舞ってお店を出た。
おしゃれ服をいっぱい買ってもろて喜ばない女の子はいまい。
気分あげあげで、婆ちゃんと手を繋ぎ歩いてると何だか騒がしい。
「あー、またやってるのかい」
婆ちゃんがめんどくさそうに騒ぎの方に進むと爺ちゃんとちょっとだけ若いおっちゃんが腕相撲しててカルロスや他のギャラリーがやんややんややってるん。
「ぐぐぅ!」
「ぬおぉ!」
「いけぇ!!」
「もっと踏ん張れ〜!!」
そこそこ歳いってでそこそこマッチョなオジサン達がものすごい熱気で騒いでる。
って爺ちゃんとやってんのさっきにギルド長やん!暇か!!
「ぐおおぉ!!」
「ふんっぬ!!」
爺ちゃんがギルド長の腕をバンって台に当てて試合終了や。
「まだまだ若い者に負けんぞ!!ガハハ」
爺ちゃん、そのオジサンも若いもんに入れたんのか?優しすぎへんか。
「「「「わぁあああ!!」」」」
「「おっぉ!儲けたー!」」
崩れ落ちるオジサンとガッツポーズのオジサン。何や、賭け事してたんか。
う◯こや。
ギャンブルとアル中とシャブ中はあかん。
カルロスがめっちゃ飛んでるからボロ儲けしたんだな。
めっちゃ冷たい目で見てたら、婆ちゃんが、
「娯楽が少ないからこれは遊びのうちよ」
って苦笑いしつつ、頭を撫でてくれた。
酒一杯の賭けだからいいんやって。
一人勝ちしたら人数分の酒飲まなあかんて逆に罰ゲームやな。
「もう一回〜カシムさん、もう一回〜!!」
「もう帰る時間だ!また来た時やろうな」
良い年したオジサンのオネダリは微妙。周りのおっさん達も名残惜しそうや。
爺ちゃんとカシムはまぁまぁな大きさの酒瓶貰ってご機嫌でこっちに合流してきた。
「あいつらはまだまだひよっこだな!!」
爺ちゃん、カルロスと大笑いしてるけど、中年でまだまだってひどない?
馬車に乗る前に屋台でタコスみたいなのやホットドッグみたいなのを山盛り買って街を出た。
疾走する馬車の中でタコス?を食べた。
本物のタコスを知らんで比べられへんけどまぁまぁ美味しいんやろな。
カルロスと爺ちゃんは馭者台にいるから食えん思てたら、どうも風魔法で周りに結界が出来てて外の風感じんように出来るねんて。
だからもの食べる時は魔法使ってるて。
いや物凄い風の抵抗あるんやろからずっと魔法でカバーしてた方がええんちゃう?
「アホとバカは風を受けて走るのが大好きなのよ」
どっちがアホでどっちがバカなんやろか。良い笑顔の婆ちゃんにはよう聞けへんやったわ。
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