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しばらくはアクィラと婆ちゃんに魔法と薬学を教わり、爺ちゃんとカルロスに体術を学んだりやった。
食事は誰かの気分で唐突に広場でパーティしたりバーベキューしたり。
「俺たちだってルーノを愛でたい」
って村全体で孫扱いだから暇な時間がないほど可愛がられて。
でもな、山野を全力疾走させられたり、剣の相手してもらったりは正直しんどいで〜!
レギウスも弓と精霊魔法を教えてくれるようになったし。
村にいる若い(見た目が)男はレギウスだけやでちょっと恥ずいんや。
エルフって線の細い儚げなイメージやったけどしっかりした身体してん。
弓って筋力体力いるらしいわ。
ルージュさんは猫パンチ教えてくれるけど私は獣人ちゃうからあんま使えんで。
って思ったらナックルくれた。物理!
パンチ繰り出す時に尻尾がゆらめくから技よりそっちが気になるん。あとボインちゃんがな!
わりと露出が多いからちょっとお年だけど十分セクシーボンバーや。
ダイナマイトなバディって女でもドキドキだで!
「ルーノちゃん、これから一緒にパン作らない?」
ベラさんがシルバの婆ちゃんといっしょに誘いにきた。
「げ、私は食う担当だから〜」
ってルージュが逃げちゃったわ。
「カルロスは?」
「旦那は相変わらず朝の焼いたらどっか行ったわよ」
カルロス、自由すぎる。
パン屋の裏口から入れてもらって中に入るとまだちょっとパン焼いた後の匂いが漂ってる。
「今日は何作ろうか?」
「そうねぇ」
ちなみにカルロスのパンはオーソドックスにカンパーニュやフランスパンって言う食事用のが基本で、たまにドライフルーツやナッツを混ぜるくらいなんや。
菓子パンがなかったから一度甘いパン欲しいって言ったら婆ちゃんがベラさんとこまで私を引っ張ってったわけ。
「ハーブのフォッカッチャ食べたいな」
「ふぅおかちゃ?」
「ハーブ持ってくるわ!何が良い!?」
タブレット出して調べて、婆ちゃん走ってった。元気や。
「生地作って待ってましょ」
いやすぐ戻ってくるて。
「パイ生地作れる?」
「出来るわよー」
「じゃそれもー」
やっぱりすぐさま戻った婆ちゃんと共にパン生地を纏めてこねこねこね。
サツマイモがあったからそれを調理してペーストにして。
フォッカッチャとサツマイモのパイ。
ついでにハーブクッキー。
チョコがないのでチョコチップクッキーが出来ん。無念や。
ハーブと芋とパンの香りが充満し始めたら窓の向こうがザワザワしてる。
婆ちゃんたちが窓にびっちり張り付いて中を見てた。軽くホラー。
「やぁね!中入ってきたら良いのに」
ベラさんが苦笑しながらみんなを中に招き入れる。
「だって作ってるのを邪魔したら悪いじゃない」
「窓にみっちりいるほうが悪いわよ!」
焼き上がるまで奥様(?)たちの井戸端ならぬパン屋会議や。
私がいることを忘れて旦那の愚痴がいっぱいや。
みんな楽しそうにしてるのに不満いっぱいあるんやね。
夜の話や過去の浮気まで。耳年増は気配を消して聴くやで。おもろ。
「ま、それでも健康でいてくれたら良いわ」
「そうね、好きで一緒になったんだもの」
最後は結局惚気!!?が始まった。不思議やね。
「あらやだ!ルーノちゃん!いつもの癖で話し込んじゃたわ」
うん。お気になさらず。あのおっちゃんが絶倫とかあっちのおっちゃんが早いとか聞いてない聞いてない。
幾つになってもそっちが話題なのね?
「あら、焼けてきたわね」
釜は三つあるので焼き加減覗いてフォッカッチャだけ出した。
「良い香りねぇ」
ハーブ使ってると好き嫌いがあると思ったらみなさん平気そう。
味見をしたらみんな目が綻ぶ。気に入ったみたい。
「味見程度の量しか作ってないからもう一回焼くわ。手伝って」
「「「はーい」」」
次はクッキーとパイを取り出す。
「ほろほろサクサクね」
クッキーはなんかビスケットみたいな硬さだったからタブレットで作り方調べてやり方を変えてもらった。
「パイも美味しいわ」
「本当ね」
結局パイもクッキーも追加で焼いた。
みんなでわけてやっと解放されたのは夕刻で爺ちゃんがパン屋まで迎えに来てくれた。
ん?カルロスと一緒にいたからついでだったかも?
祖母ちゃんがグレンちゃんのところに寄ってパンをお裾分けしてから帰った。
「グレンちゃんはほっとくとお酒しか飲まないから」
酒だけ!!
「あ、レギウスだ。婆ちゃん分けてもええ?」
「良いわよ」
「レギウスー」
「ルーノか、どうした」
レギウスは私を持ち上げて抱っこしてくれた。今日も山にいたのか森の香りがする。
「ベラさんたちとパン作ったからお裾分けや」
「ん?ハーブか?」
「せやで。リラックスハーブが入ってん」
「そうか。今日の夜食に頂こう、シルバもルーノもありがとう」
髪をそっと撫でてくれてから下ろされてバイバイ。
「ルーノ、あれはジジィだぞ?」
あんたもや。
ヤキモチかなんか知らんけどレギウスをジトっと見てる。
「見目麗しいんは目の保養やて。おばちゃんたちも言うてた」
「かー!女どもは」
「そう言う爺ちゃんも若くて綺麗でボンキュッボンな女の人おったら見ちゃうやろ?」
「俺はそんなことはない」
目が泳いでるで。
「カシム、あんたが胸と尻の大きい女に入れ上げてたのは忘れてないわよ」
婆ちゃんが「うふふふ」って笑ってるの目が怖いで。
婆ちゃんはスリムや。ボインちゃんではないけどわりとある方やと思うわ。
「はぁ、藪突いちまった」
爺ちゃんが肩を落としちゃった。
家でご飯食べてる間に元気戻ったからよしや。
「うふふふ、ルーノ、また美味しい物教えてね?」
「うん」
食材や光熱費気にせず料理できるんありがたいで。味や好みを追求できるんは幸せや。
今度ここから半日掛かる街にお買い物連れてってくれるやて。この村では手に入らないものをたまに買い出しに行くそうや。
村にも行商はくるみたいやけど、行ったほうが早い言う。
まぁ爺ちゃんみたいな駿足?やなかったら半日ではつかんのやろな。ってあれ?まさか走っていくんやろか。
やば。馬車あるんかな?
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