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たくさんの爺婆?が集まって大鍋かき回したり、大きい刀で食材切ってる。
ちょいと若くみえる人は種族の違いで長命種で実は年寄りに見える人たちより結構上なのだ。年齢では測れないってやつか。
んで何がびっくりってピザもカレーもあるし、味噌も醤油もあるんやわ。
アクィラが色々説明してくれることには、私みたいに地球から送られた人が過去にもいて《渡人》として認知されてて食べ物や正行、工業の発展に寄与してたらしいわ。
広場でピザ回してるヨサクさんの祖父はサブロさんって言う《渡人》でイタリアンのお店を営んでたらしいわ。
サブちゃんがイタリアンて!
ジビエとか渋いことして欲しいわ。
「ちょっと、ルーノちゃん!ステーキソースってこの味でいいの?」
いや知らんし。
就職してからも節約してたからそんな良い食生活してへんかった。
外食もコンビニ弁当も高いし、だからって自炊って言ってもそう種類作れへんやん。
口元にスプーン出されたので味見してみたら、醤油と胡椒か?なんかめちゃ物足りん味や。
そういや電子辞書になんか載ってるか?
マジックバッグを漁るフリで出してみたらタブレットっぽい。
電源入れて打ち込んだらレシピ出て来た。
「・・・」
アクィラがちょっと唖然としてるけど、ルージュにレシピ教えたらまた飛んでいった。ドラゴン肉ってそんな魅惑なんやろか?
「ルーノ、それはなんだい?」
「神様が不便を感じんようにって向こうの辞書を見れるようにしてくれたヤツ」
繁々と手元見られてるけどなんでや?
「ルーノ、それはとても興味深い物だが外では絶対人に見せてはダメだぞ」
この村なら好きにして良いって言われたから出してみたけどダメやったん?
「ここの連中は今更儲けようとか何か成そうとは思わないから平気だが外の者は不可思議な物を見れば金儲けのために奪おうとする」
ま、それはどこの世界でもある話や。
「みんな~そろそろ始めるよ~」
「「「「おー!!」」」」
料理が一通り出来たようでカシムの爺ちゃんが私を担ぎ上げた。
「みんな!俺とシルバが預かることになったルーノだ。色々気にかけてやってくれ」
「「「「おーぅ!」」」」
「ルーノ、乾杯に挨拶をしてやれ」
いきなり大勢に前に出されてびっくりなんかハードル高!!
いろんな種族の人たち視線を独り占め状態や。
「ルーノ言います。よろしゅうお願いします」
何言って良いかわからへんから名乗っただけっちゅうコミュ障振り。泣けるわ。
そんでも「わぁ」って歓迎の声をもろて。
「「「宵闇の白狼の村にようこそ!!!」」」
え、何その厨二病ちっくな村名。
「ここはクランの仲間たちで作った村だからな。クランの名そのまま使っているんだ」
「クラン?」
「冒険者パーティが集まった組合みたいなものだよ」
こないたくさん所属してたならすごいチームやったんやろね。
「さぁ。たくさん食べな」
シルバの婆ちゃんがお皿にたくさん取り分けて渡してくれた。
「ドラゴン肉は舌が蕩けるわよ~、栄養も魔力も満タン♡」
ルージュが自分のお皿に山盛り肉を積んできて。
私も一口食べてみる。
初体験や!
正直言って地球で美味しい食事なんて仕事の接待とかバイトの賄いがせいぜいで高価な物の味なんて知らん。
でも柔らかいのに歯応えもちゃんとあってでも蕩けちゃうってどんな表現したらええの?
多分トロトロ煮込んだ牛タンとかそう言うんより美味しいはずや。
「おいしーいでしょう?」
他にも煮物やパエリアとか前世由来の食べ物がたくさん出てくる。元々の味がどうとかはとくわからんねん。
でも今食べてるのは美味しい。
あと人と食事をとるのってあったかくなれるんだね。
「これからからこの村のみんなが家族よ」
シルバが肩を抱き寄せてくれた。
私のほっぺがベタベタなの気のせいだよ。
「ヨサク!その焼きたてわけてちょうだい」
「はいよ」
ヨサク爺が持ってきたんはチーズたっぷりシーチキンとコーンののったやつ。
スーパーで売ってる懐に優しいのとはちゃう分厚い生地とたっぷり具材や。
「ルーノは地球から来たんだって?ワシのじいちゃんはジャポンのチーバから来たって言っておったらしい」
「ジャポン・・・」
サブちゃん受け狙ったんやろか?
「私はいろいろなところに転々としとったからどこ言うんはないけどジャパンやったよ」
「ジャポン?」
「ジ ャ パ ァ ン!」
GOさんなってもたわ!!
ちゅうか日本や。なんで海外向けになっとん。
日の本、日出る処やで。
「ジュポン」
「ジャパァーーン!!」
いやなんでやね!
「ハハハハ!」
やっぱネタやったんか?
ヨサク爺が腰に下げてた手拭いで私の顔を拭った。
ぎゃ!!めっちゃ煤ついてんやけど!!
「ちょっとヨサク!!ルーノが真っ黒になったじゃないのぉ!」
ルージュがお肉お代わりとエール?両手に怒ってきた。
「ハハハハ!」
なんなん!!
シルバの婆ちゃんに連れられて水場で顔を洗ったよ。
「全く幾つになってもふざけ屋だね」
いくつかわからんけど8歳相手に何しよん。
「ルーノ、あれ食べようか?」
婆ちゃんが取ってくれたのはおっきい伊勢エビみたいなやつ。
さっきから高級品ばっかや。
「みんな子供好きでやり過ぎるから気をつけてね」
どうやってやーん。
その後もいろんな爺婆に可愛がられて夜が更けたよ。
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