第3話 耳かきさせてくれる?
//SE 通知音
//声量小さめ、こちらを窺うように
「もしもし、まだ起きてる?
よかったー。ごめんね、すごく遅くなっちゃった。配信の後、コラボ相手の人と話が盛り上がってね」
「うん。そうなの。大成功。配信がとってもうまくいってさ。コメントも大盛況で、わたしも色々活躍できて。楽しかったー。
……まあ、わたしがすごいわけじゃないんだけどね。コラボの人の腕かなあ、やっぱり。
やー、なんていうか、すごい人はすごいんだねえ。……なんかそのままだけど。
わたしが変なことを言っても、うまく返してくれたり、フォローしてくれたりして。
……もっとわたしもがんばらないとな、って思いました」
「そ・れ・と、もちろん、きみのおかげ。//耳元に近づいて
きみが応援してくれてるのを知ってるから、きみがわたしを待っていてくれるから、
いつかきみに、わたしのもう一つの名前を教えて、きみがわたしを見に来てくれたとき恥ずかしくないように……そのためなら、わたしはどんなことだってがんばれると思う」
「本当に、きみには感謝してるんだ。ありがとう。
そして、こんなに遅くまで起きてくれていたことにも」
「だからね……。
今日はわたしが寝かしつけてあげるよ」
「えー、なに驚いてるの? ね、一緒にベッドへ行こ?」
//聞き手の不同意を想定した短めの間
「お願い。わたしがきみにお礼をしたいんだ。ね? 今日はわたしが、ずーっと癒やしてあげる。
それに、もうだいぶ眠たくなってるでしょ。早く寝ないと体によくないよ」
「もー。先にベッドに行っちゃうよ。きみの耳だけ持って。
よっと」
//SE 椅子の軋む音
//SE 歩行音(複数歩)
//SE ベッドに腰掛ける音
「コードとか大丈夫そうかな、よし。
ねー、早くー」
//SE ベッドを軽く叩く音(数回)
//マイクに近い距離で
「ふはは、きみの耳は預かった。返して欲しければここまで追ってきたまえ」
//やや長めの間
//耳を軽くもてあそぶ音、薄く呼吸音
「へへへ、捕まえた。ぎゅーっ」
//両耳をふさぐ
「それじゃあ、まずは竹の耳かき。どっちからにしようかな。
//耳を交互にタッピング 右耳で止まる
右耳。じゃ、ここに横になって」
//ふとももを叩く音(二回)
「どこ? ってほらここだってば。わたしのふともも」
//ふとももを叩く音(二回)
「ね。目をつむって。想像して。わたしの姿を思い浮かべて。
わたしはベッドの上にいて、膝を揃えて座っていて、それで、きみを待ってるの。
わたしのふとももの上にあるのは?」
//マイクを軽く叩く
「マイクって……まあ、それはそうだけどさ……。//やや呆れて
もー、ちょっと付きあってよ」
//右耳の上から近づいて囁く
「これは、本当にきみの耳なの。わたしはそう思ってるの。わたしはきみが本当に、わたしの足の上に乗ってくれるのを待ってるの。
ね、来て? 別に変なことをするわけじゃないよ? ただ想像するだけ。
//ふとももをなでる音
わたしはここにきみの頭があって、きみの頭の重さをももに感じて、本当にきみの耳を耳かきしている。わたしはそういうふうに思うから。
きみもわたしを感じて? わたしの肌がきみの頬に触れて、体の熱さが伝わって、わたしの息がきみの耳に掛かる」
//耳に息を吹きかける
「きみには、色々なことでお世話になってるからさ。これはきみへのお礼。受け取って?
いいでしょ、ね?」
「ありがと。おいで」//声近く 抱き寄せるイメージ
「左耳をわたしのふとももの上にのせて、それで、体は向こう側に向けて」
//以下、マイク位置右
「うん。それじゃあ始めるよ。
まずは耳の外側と入り口の方から」
//右耳、耳かきの音
//以下、耳かきをしながら話す
//しばらく無言 耳かきを続ける
「どお? 気持ちいい?
//無言。耳かきの音
ふふ」//少し笑う
「んー? きみが、わたしの足の上で気持ちよさそうな顔してるの想像したら楽しくなっちゃった。ふふふ」
//長めの耳かきの音
「どうですか、お客さん。わたしのふとももの感触は」
//ももを擦る音
間
//耳かきの音、一度止まる
「いや、別にぷにぷにはしてない。
もー。もう少しちゃんとわたしの足を思い出して? 太くないもん。
思い出せないの? 今度会ったとき、わたしの足をよく見……。
ごほん」//口で言う
「やっぱ今のなし。
……」//少し考える
「うー。最近、アイスの食べ過ぎで体重増えてたり、別にそういうことはないよ? アイスはカロリーがマイナスだから、むしろ細くなってるはずだし」
//ももを擦る音
「……ううん。なんか恥ずかしくなってきちゃった。
ほら、続きやるよ」
//耳かき再開 しばらく無言
「奥の方もやってくよ」
//耳かき奧 しばらく無言
「……なんかさ、こうして二人でゆっくり話すのって久しぶりだよね。
昔はもっと二人でいる時間が多かったよね。小学校のときなんか、どこ行くのも一緒で、お互いの家に遊びに行ったり、一緒に勉強したり、ゲームやったり、プール行ったり。
それが、だんだんさ……。
それが大人になってくってことなのかもしれないけどさ……。
最近なんて、もう全然会えなくて……。
だから、ね……。今、わたしはきみとこうしていられてとても嬉しくて……。
きみといるとわたしは……すごく満たされて……。
わたしはきみの……こと……。
わたしは……。
これからもわたしたちは……ずっと仲のいい幼なじみ……だよね」
「ん……。
……右耳終わり。仕上げに梵天」
//梵天で掃く音(数回)
//長めに息を吹きかける
「そだ。今度一緒にゲームやろうよ。//意識して明るめに
配信を始めてから、やったことのないタイプのゲームもやるようになってね」
「あ、そうそう。あのFPSのゲーム。最近流行ってるよね。
//右耳を優しく指かき・マッサージ 継続的に音を鳴らす
あれ? わたしあのゲームやってるなんて言ったことあったっけ?」
間
「さっき通話で言ってた? そう……だっけ? まあいいや。あのゲームは二人協力プレイのモードが熱いよねー。なかなか難しいゲームだけどさ。プレイヤーの息が合わないと全然クリアできないから。今日も……」
//耳を触る音止まる
「いや、言ってないよ?
そのゲームは今日の配信でやったゲームだから……、絶対教えてないはず」
//声を潜めて
「もしかしてだけど……さっきの通話の後、探したりしたの?」
「……。//ごく短いため息
だとしたら、ちょっとだけショックかも。まだ、わたしは心の準備ができてなかったから……。わたしが待ってほしいって言ったら、きみは待っててくれるって思ってたから………………。
え、違うの?」
間
「実は少し前から知ってた?
あー……おすすめ欄に出てきて……そっか、そうだったんだ。なんだ、言ってよー」
//指かき再開
「そっかー。知ってたのかー。あー、びっくりした」
間
「言わなくてごめん? まあ、わたしが待って欲しいって言ったからね……。いいよ、許すよ」
「……。//なにかを考えながら長めにマッサージ
……んん? え?」//少し嬉しそうに
「いーや、なんでもないよ? ふふ。//弱みを一つ握ったというニュアンスで
反対側の耳もやっていこうか。左耳の方。体こっちに向けてくれる?」
//以下、マイク位置左
「お腹の音、鳴ったりしたらごめんね?」
//左耳を触る音
「それじゃあ、やってくよー。
//長めに息を吹きかける
……へへ。ちょっと意地悪しちゃった。
んー? なんか嬉しくてね。えへへ」
「じゃあ、耳かき始めるよ。
まずは手前の方から」
//左耳、耳かきの音
//以下、耳かきをしながら話す
//しばらく無言 耳かきを続ける
「……今日の配信どうだった? 見に来てくれたんだよね」
間
//相手の話に相槌を打つ感じで
//耳かきをBGMにして
「……うん。……うん。……ありがと。……ふふ。嬉しい。
……なんか、わたしより、聞いてるきみの方が緊張してたんじゃない?
……わたし、変なこととかしてなかった? ……大丈夫そうだった?
……それは褒めすぎ。
……やー、なんか知り合いに聞かれてるってのも変な感じだね。ちょっとむずがゆいよ。
わたしは、ほかのVtuberさんと比べたら、まだ全然だしさ。みんなほんとにすごいので。
……わたしもすごいって? ありがと、でもね……。
……うん? え、あ、聞きます。どうぞ?」//相手の熱意に押される感じで
//耳かきの音、徐々に小さくなる
「……うん。……うん。……えっと……。……いや、そこまででは……。……え? ……。えっと……。あの……。その……。……あう。……うー」//照れて
//耳かき止まる
「きみ、語るねえ。そこまで熱く感想言ってくれて嬉しいよ」
間
「……ふーん。大事な幼なじみのことだから当然だって?
ふーーん?」//次の台詞への貯め
「きみが好きなVtuberってわたしでしょ?」//マイク位置近 囁き
「こら、動かないの。じっとしてなさい」//抱きしめてホールドするイメージで
「ふふふ。めっちゃくちゃ慌ててる。かわいい。今きみの顔、真っ赤なんじゃない?
そっかー、きみの推しはわたしだったかー。ふふー。
きみ、その子のことなんて言ってたっけ。がんばりやで、自分と趣味と話が合いそうで、後は……なんだったっけ」
間
「かわいいかー。そっかー。……今のもう一回言って?」
間
「……ふふふ……えへへ……」//とても嬉しいが、それを絶対に外へ出さないようにするという固い意志を持って(できてない)
「……ふふ。ほら、また耳かきやってくから大人しくして?」
//耳かき再開 聞き手が落ち着くまで長めに
//しばらく無言
「奥の方もやってくから、絶対動いちゃ駄目だよ」
//耳かき奧 しばらく無言
「きみ、わたしの声ずっと好きだよね。
中学校に上がったころ、わたし、自分の声が嫌で嫌で、ほかの人に声を聞かれたくないって思っててさ。人と話すの、どんどん苦手になっていって、きみ以外の人と話すこともほとんどなくなったりして……。
だから、放送委員になっちゃったのは本当に苦しかったんだ。校内放送の最初の日さ、きみが手を握ってくれて、なんとか放送は始められたけど、喉がふさがって、つっかえつっかえにしか声が出なくて……。
でもきみは、よくがんばったねって褒めてくれたよね。嬉しかったよ。それから毎日毎日褒めてくれて……、それだけじゃなくて、放送の感想を書いた手紙もくれたよね。わたし、あの手紙まだ持ってるんだ。ときどき読み返したりもしてるよ」
間
「やだ。捨てない。わたしの宝物だもん。きみが褒めてくれたから、わたし、自分の声が好きになれたんだ。ありがと」
//耳かきの音 しばらく無言
「じゃあ、こっちの耳にも梵天」
//梵天で掃く音(数回)
//長めに息を吹きかける
「耳かき終わりー。
体こっち向けて」
//マイク位置 正面
//両耳をゆっくりぺたぺたと触る
「そのまま楽にしていいよ。お疲れ様」
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