第15話

「この、汚い虫もどき共があああああ!! 我が主に近づくなああああ!! 必殺ヘブンズトルネード!!」



無礼な態度で武器を持って主に詰め寄る気味の悪い黒装束の集団に対して、怒りを爆発させた女傑ジェシカ・シアターが剣を持って立ちふさがり必殺技をぶつけた。



「「「「「うわああああああ!!」」」」


「な、なにぃぃぃぃぃ!?」


「う、嘘だろぉぉぉぉぉ!?」



そして、黒装束の集団はあっという間にたった一人の女性の手で叩きのめされてしまった。しかも、華麗な剣さばきで十秒もしないうちに。残っているのは、先ほど偉そうにしていたマグーマとアノマだけ。



「ひやあああああ! あんなに集めた男たちがあっという間にぃ! ああ、ま、待って待って! お願い助けて!」


「お、俺が悪かった! これ以上は勘弁してくれぇ!」



マグーマとアノマは顔面蒼白になり、震え上がった。しかし、そんな情けない姿を晒してもジェシカの心には何一つ変わらない。



「ちっ、狼藉者どもめ。お嬢様、この愚かな狼藉者二人を沈めます」


「本当の狼藉者だけど詳しい話を聞きたいから、ほどほどにね」


「かしこまりました。喰らうがいい、必殺チャーミングレイブン!!」



それは、無数の稲妻が降り注ぐように、目がくらむほど速い剣技だった。あまりの速さにマグーマとアノマは為す術もなく、体中を斬り裂かれた。しかし、ジェシカは殺すつもりはなく、二人を動けなくする程度に留めた。



「あ、あが……げふっ……」


「い、痛いよぉ……え~ん……」


「さあ、これで同行願いますね?」



リリィは冷笑しながら、傷ついたマグーマとアノマに声をかける。美し美女の笑顔なのだがマグーマには悪魔か死神の顔にしか見えなかった。だからこそ、憎悪と畏怖を込めて絞り出すような声で、リリィに聞いてみた。



「お、お前は何なんだ………お前は俺がどうなってもいい、それは分かるが……ここまで、するか……?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る