第2話 アパート
友人が住んでいる古びたアパート。
何でもそこに「出る」らしく、度々勝手に電気が消えたり、友人が居ない時に「走り回る音がする」と苦情が来たりするという。
友人に気にしていないのか聞いたところ、苦情の件に関しては困るが自分には一切何も見えていないので大して気にならないとの事。
そんな友人に2022年に入って、一度電話をかけたことがある。
ちょうど冬の真っ只中で、外はそろそろ雪でも降るのではないかというくらい寒い日だった。
電話をかけた理由なんて、些細なものであまり覚えてはいないが、大方、飲みにでも誘おうと考えたのだろう。とにかく彼の家、彼の持つケータイに電話をかけた。
数回コールしてようやく電話を取ったので「もしもし?私だよ、久しぶり」そう言おうと口を開いたら
なんとも言えない、男とも女ともつかない甲高い声で「ろろろろろろろろろろろろろ…」と言われ電話が切れた。
慌ててかけ直しても、誰も出ることは無くそれ以降
不在を伝える電子音がなるだけだった。
あれ以来、彼の電話には掛けても繋がらない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます