第5話 バァバと母さん①

母さんは最近「白マルにいろんな話を聞いてもらって、すごく楽になってきた〜。ありがとう!」と言う。

「今まで生きてきて、心にいっぱいオロが溜まってたのをどうすることもできなかったけど、やっと出せるようになった」って。


「出したいモノは、出したい時に出せばいいんじゃない?

私は誰かに話したりしないから」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


バァバたちは今の家に建て替えた時に、ここにやって来た。30年くらい前のこと。

ジィジが75歳、バァバは65歳。

「もう体力的にギリギリだった」と2人は言っていた。


それでも元気だった2人は、よく歩いた。

緑が多い道を1時間くらい歩いて、街中のカフェで一休みするのが毎日のお楽しみ。ジィジは必ずホットコーヒー。オシャレなバァバはハイビスカスティ。美肌効果があるし、ルビーレッドが好きだったのかな。

ジィジは病気になる前は酸素ボンベをお供に歩く必要が無かったから、背筋まっすぐ颯爽としていた。

「オヤジに『姿勢良くしていなさい』ってよく言われてたからね」


バァバと母さんは、とても仲良しだった。


母さんは一人っ子だからか、毎日バァバと電話で話していたみたい。里帰りするには電車を乗り継いで4時間かかったから、小さい子3人連れて帰るのは大変だったし。


で、いつか一緒に住もうと約束して、それが実現したのでした。


ジィジもバァバも、大好きなマゴたちと暮らせるようになって、本当に喜んでいた。

それを見て、母さんもやっと親孝行できたって喜んだ。



「でもね・・・。

現実はそう単純ではなかったのよね」


と言って、母さんは少し微笑んだ。


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