第40話 地底に潜むドラゴン。マジ? 俺たちこんなのを相手にするのか! (その2)
俺たち魔王様ご一行は、ドラゴンに向かって歩いていた。
全員、緊張は隠せない。俺も猟銃をカバーから出して、両手で持った。
頭上に見えるの穴の向こうでは、小言係氏が控えているはずだ。
ここはもうブレスの射程内、警戒するのは当然だ。
でも、ドラゴンに動きはない。
そろそろこちら側の魔法の射程に入る。
それを察知したのか、ドラゴンがむくりと起き上がった。
『愚かな人間どもよ。余が剛竜ガルガムンドと知って向かってくるか!』
俺は何も答えなかった。俺たちの目的は、相手の実力を知る事。問答は無用だ。
口火を切ったのは、頭目だった。
自慢の剛力で引きしぼられた矢が、次々とドラゴンに向けて飛んでいく。
だが、ドラゴンは全く動ずる様子もなく、ヒラリとかわす。
こいつ、巨体のくせにメチャクチャ俊敏だ!
次に、天才美少女騎士が斬り込んだ。
「こら貴様! 早く変身せぬか!」
俺は、ズッこけた。
でも相変わらずドラゴンは余裕綽々、斬り込んでくる剣を軽くあしらっている。
そのうち面倒臭いと思ったのか、ティグの剣を弾き飛ばした。
「おのれ、往生際が悪いぞ! さっさと変身せぬか!」
おいおまえ、もう負けてるぞ!
勇者ヨシヒロが、ドラゴンの前に立った。
相手の技量を悟ったのか、ドラゴンは動かない。
2人の対峙はしばらく続き、やがて機が熟した。
「きぇーい!」
同時に、ドラゴンの爪も振りおろされる。
すさまじい衝撃音。
ヨシヒロは、後方に飛び下がった。
「よい太刀筋だったぞ、
ヨシヒロは、ニヤリと笑顔を浮かべた。
「でもまあ、今日のところはこれくらいにしてやる。次回を楽しみにしておれ。」
剛竜ガルガムンドは、すっくと立ち上がると叫んだ。
『何を寝ぼけている、人間よ。この場で決着をつけようではないか。』
ヨシヒロは身を翻すと、ダッシュで走り出した。
おい、負けたのかよ。
仲間のために、命懸けで戦うのが勇者じゃないのか?
『待てい、人間!』
ドラゴンが追いかけてくる。
まずい! 俺は、銃の安全装置を解除した。
仕方がない。牽制くらいにはなるだろう。
突然、ドラゴンが急停止した。
立ち塞がったのは、元魔法少女、トロイ。
手にしているのは、「爆裂禁止!」と書かれた
その先端は光を放ち、いつでも魔法が発動できる事を示していた。
『魔法使いか。だが、無駄じゃぞ。余を倒せる魔法使いなど、おらんわ!』
「しゃらくせーっ! くらえ! 爆裂弾、-2!」
杖から光が放たれ、ドラゴンに向けて走る。
ドラゴンは冷笑すると、後方にジャンプ、一回転して鮮やかにかわしてみせた。
相変わらず、すごい俊敏さだ。
『だから、無駄だと言ったであろうが。もっとも、命中しても余は倒せんのだがな。』
万事休すか。俺は、銃を構えた。
そこで、はっと気付いた。
「全員、逃げろ! 全速だっ!」
俺たち全員、脱兎のごとく逃げ出した。
『待てい、人間。ここまで来て、ただで帰れるとは思うな!』
ドラゴンが、俺たちを追って走り始める。
その瞬間、ドラゴンの足元がピカッと光った。
炸裂する地面。ドラゴンは吹き飛ばされた。
『うわーっ!』
よし、でかした! 爆弾娘。
「よし、今だ!」
今の声、小言係氏だな。
上を見ると、穴から飛び出した小言係氏が見えた。
ホーキは準備していなかったようで、跨がっているのは杖だ。
呪文の詠唱が響き、やがて完成した。
「
空中に現れたのは、巨大な魔法の
小言係氏は左手をドラゴンに向けると、右手を降り下ろした。
魔法の
すごい! まるでギロチンの刃だ。
吹き飛ばされたドラゴンは、避けようがなく、魔法の
爆発が巻き起こる。
小言係氏が、俺の近くに舞い降りた。
相当魔力を使ったのか、疲れきって肩で息をしている。
「私の最強攻撃魔法です。いくらドラゴンでも、ただで済むはずがありません。相当なダメージを負ったでしょう。普通のドラゴンだったら、ですが。」
次第に爆煙が晴れてきた。そして、俺は言葉を失った。
剛竜は、そこに屹立していた。
ダメージを受けたようには見えない。
「やはりあいつは剛竜ガルガムンド! リュージ殿、ここは危険です。退却しましょう。奴とは勝負にはなりません!」
『おのれ、
ドラゴンの口が、輝きだした。
まずい! ブレスがくる!
「全員、逃げろ!」
俺が指示するまでもなく、全員後方に走り出していた。
おい、おまえら。少しは魔王をかばえ!
ドラゴンの口の輝きが増した。
ダメだ。このまま全滅だ!
申し訳ない、TF。
ごめん、じいちゃん。
魔王の眷族、地竜ユンボ出撃! チート能力は土木作業です。 @masaki-t
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