第5話 祖父の決断

リンダリアは下界の様子を眺めていた



リンガイアではリンゲイ王子の結婚式が執り行われていた



沢山の人々に祝福されて幸せそうなリンゲイ王子



「これで跡取りでも産まれたら安心なんだけどなぁ…それを言うのはまだ早かったわね」



「ほう…結婚式か…儂から見て玄孫に当たるリンゲイか嫁を貰ったのか…」



そう言ったのはリンダリアの祖父であるリングランドだった



その様子を食い入るように眺めていると突然リングランドが声を上げた



「よし決めたぞ!儂はリンゲイの息子として生まれ変わる事にしたぞ」



「ええっ!そんな事出来るんですか?」



その声を聞きつけたニルヴァーナと中性的な人物が現れた



「お義父様…急に何をおっしゃるのですか…生まれ変わる時期を自分で決める事は不可能なのですよ?」



「いや…そうとも言えないよ…随分昔になるけど数件だけ自分で生まれ変わる時期を選んで実行した人はいるよ…かなり稀なケースだからね」



「貴方は?」



「私かい?一応この世界を管理する神の一人だよ」



「神様?!」



「私以外にもそれぞれの種族に神が居てこの世界を管理しているんだよ…」



「と言う事はここ以外にも独立した町のような場所があると言う事ですよね?」



「それぞれの種族が来る町が独立して存在しているんだ…冒険者以外では他の種族と接触する機会が無いから混乱を避けるためだね」



「話がそれたが儂が玄孫として生まれ変わる事は出来るのじゃな?」



「ええ…不可能ではありません…ただしここでの事や貴方としての記憶は消えてしまいますがね…」



「それで構わん…再び息子と共に生きられるなら何でも良いわい」



「覚悟は決まってるようだね…そこまで言うならリンゲイ王子の息子として生まれ変わらせるよ…私と一緒に来てくれ…」



リングランドは神の元へ行くとこちらに振り返ってこう言った


「リンダリア…会えて嬉しかったぞ…儂の分までこの世界を見守っていてくれ…頼んだぞ」



「お祖父様!」



「じゃあな…ニルヴァーナさんも元気でな…と言うのは変じゃな…死んでる人間に向かって言う台詞じゃ無かったな」



「いいえ…ありがとうございます…また再び生まれ変わって会える事を祈っていますわ」



こうしてリングランドはリンゲイ王子の妻に新たに宿った命として生まれ変わるのだった



やがてリンゲイの息子として生まれ変わったリングランドを見たリンスロットはその子に父の面影を見た



「元気な子じゃ…この子の名前はリングじゃ…儂の父の名前から貰ったのじゃ…元気に育てよ」



リンガイア王国では王子誕生のお祝いが開かれるのだった




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