第4話 ここは何処?
リンダリアは北川という異世界からやって来たという男がオーナーを務める「極楽亭」という居酒屋に足繁く通うようになっていた
北川は銀河太陽系の地球という星の日本という国の生まれで、ある時瀕死の重症になる程の事故に遭遇した
生死の境を彷徨ってる時に不思議な光に包まれて気がつけばこの世界にいたのだそうだ
「ここは何処だ?俺は死んだのか?」
彷徨い歩いていると目の前から誰かが慌てた様子で自分の方へ向かってくるではないか
「お前…出身は何処だ?」
「え?日本ですけど…」
「それは何処にある?」
「何処ってアジア圏ですけど…」
「そうじゃない…お前が居た世界はなんと呼ばれているんだ?」
「ええ?なんだろう…銀河太陽系の地球という星ですね…」
「やはりそうか…あいつ…他の世界から死者を連れて来たのか…余計な仕事を増やしよって…後処理するのはいつも私だというのに…」
北川は異様な感じがして目の前の男?に問いかけてみた
「ここは何処なのですか?俺の居た世界とは違うような…死んだ人間が来る世界ですか?」
すると目の前の男?はこう答えた
「確かにここは死んだ者が来る場所だよ…ただし君が居た世界とは異なるけどね」
突然の話に混乱する北川
「ええっ!どうゆう事ですか?」
「一つだけ言える事は君は本来ならここに辿り着くはずがない場所だという事だな…私の知り合いに悪戯好きな者がいてな…君はそいつにここに連れて来られた可能性が高いみたいだな…」
北川は頭が真っ白になった
「とりあえず人間の死者が集まる町に連れて行く事にする…そこで君に仕事を与える事にするよ…ここでは働かないとすぐに魂は消されてしまうからね…良いかい?」
北川は静かに頷くしか無かった
たどり着いたのは至って普通の町であった
当たり前のように人々が働き、物を売り買いしたり食堂のような場所もあった
「死者の世界なのに衣食住が揃っているのか?」
戸惑いを隠せずにいるととある場所に案内された
「そこに座りたまえ…君の適性を調べる必要がありそうだ…別の世界から来たという事は可能性が未知の領域だという事だからな…」
北川が椅子に座ると頭に何やらヘッドギアのようなモノが被せられた
「少しの間眠ってもらうよ…心配しなくても悪いようにはしないから」
北川は急に意識が遠のいていくのを感じた
しばらくして気がつくとベッドの上に寝かされていた
ボーッとしていると誰かが側にやって来た
「気がつかれましたか?私は貴方の世話をするように申し付けられた者です…サリアとお呼び下さい」
その女性は美しいブロンドの髪に青い瞳の美女だった
北川が見惚れていると何かしたい事があれば言ってほしいと言われた
考えを巡らせているとグゥ〜っとお腹が鳴った
「食堂に行きましょう…こっちの料理を食べれば何か閃くかもしれませんね」
サリアに連れられて来た食堂で料理を頼む事にしたがどれなら自分が食べられるかわからなかったのでとりあえずオススメの料理を食べる事にした
運ばれて来た料理は巨大な肉に甘辛い香辛料がかかったワイルドな見た目のモノだった
「こ…これは?」
「ドラゴンの肉のステーキですわ!ドラゴンの肉は希少なのでお値打ちですよ!遠慮なさらずに食べて下さいな」
ドラゴンが実在する世界でその肉を食べる日が来ようとは夢にも思わなかった
恐る恐る口に運ぶとジューシーな肉汁が溢れて想像したよりも美味しかった
「まさかドラゴンの肉を食べる日が来るなんて…俺の世界では実在しない生物なんですよね〜こんなに美味いなんて驚きました」
「そうなんですね!北川さんの世界のお料理に興味が湧きましたわ…」
それを聞いた北川はこの世界ではどんな料理があるのか聞いてみる事にした
主に食されるのは鶏肉や猪、山羊や羊の肉でドラゴンは希少だと言う…野菜は地球のものとあまり変わらない種類が揃っているようだ
「魚や魚介類は食べないのですか?」
「魚や魚介類は港町だけで流通してるんですよ…他の場所に運ぶのには日持ちしないので適さないからですね」
「なるほど…ここは輸送手段が限られていて新鮮に運ぶ技術も無いのか…」
北川はある思いが湧いて来た
「あの…俺が住む世界の食材とかは流石に手に入りませんよね?」
「どうでしょうね?神様なら何とかなるかも?」
「神様?直接話したり出来るんですか?」
「貴方もさっきお話されていたではありませんか…」
するとさっきの男性?が神様なのか…どおりで中性的だと思ったらなるほど…納得だな
食事を終えた北川は早速さっきの男性?の元へ案内を頼んだ
「おや…何か掴んだようだね…何をするのか決めたようで何よりだよ」
やはり神と言うだけあって北川の考えを見抜いているようだった
「貴方に頼みがあります…地球の食材を作り出してもらえませんか?俺はそれを使って日本料理を提供する居酒屋を経営したいと思っています…可能性でしょうか」
神はしばらく考え込んでいる
「そうだね…具体的なイメージを伝えてくれれば似たようなモノは作れると思うよ…日本料理を提供する居酒屋か…面白そうじゃないの!良いんじゃないかな?全面的に協力させてもらうよ」
話が決まればあとは土地の確保と建物や設備を造れば良い
準備は急ピッチで進められた
北川が監督責任者になり建物の構造やキッチンの設備などを造り上げていった
食材も試作品を作ってもらい近くの店のキッチンを借りて料理を作ってみるのだった
そして北川がオーナーを務める居酒屋「極楽亭」が完成し無事にオープンを迎えた
オープン記念に和菓子の手土産を大量に用意した
物珍しさからお客がひっきりなしに押し寄せた
用意した和菓子は全然足りなくなって急遽補充するほどの大盛況だった
「やりましたね…おめでとうございます!これからも頑張って下さい!応援してますわ」
こうして異世界の死者の世界に住む事になった北川は居酒屋のオーナーとして親しまれる存在になっていくのだった
「へぇ〜凄いですね!全然勝手の違う世界なのに自分で道を切り開くなんて尊敬しますわ」
リンダリアは北川の話に感銘を受けたようだった
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