第18話ボーンアイデンティティー
入社七年目の憂鬱だった。斬るか助けるか・・・。
逡巡に逡巡を重ねある決意をしたのは、洋介からもらったラインのメッセージがセンセーショナルなテキストだと知った夜中から身動ぎもせず、朝を迎えたその朝一に営業本部長の小野田敬二(おのだけいじ)に前月の業務報告がてら、補足として付け加えた。
本社社屋を出て季節は初夏からミッドサマーへと、移ろい湿度が77%とジメジメとした都会のコンクリートジャングルをとぼとぼと肩を落として歩いた。
もう出世の可能性は無いに等しい・・・。懲戒処分かも。
俺は支店長、洋介は主任。俺独自の判断で科長までは推薦できるが・・・。相応しくない人材を推薦した所で、素行がコンプライアンスに沿った行動をしてくれればいいが、他人の恋愛にトヤカク言えない。か・・・。トリガーを引いたのは孝だ。
スッキリしない想いを抱いていた。でもこのまま看過出来ない性分。全ての疑問に於いて究明してきた自負がある。
この姿を洋介が観て忖度してくれたら良いのにと、何処かで卑怯な孝が産声を挙げてはそれを抹殺する・・・。ボーン・アイデンティティか・・・。
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