第19話卑怯者

両手をポケットに突っ込み今度は胸の前で腕を組んだ。暫くして両手をポケットに突っ込む・・・。

 そんな作業を数回繰り返し、横断歩道を渡り切った時に気付いた。


 俺は保身に走って卑怯ものなのか?いや、何処の企業もそんな奴は居るし、部下を潰してのしあがるやつだっている!

「俺は間違ってなんか無い。」自然と口をついて出た。

その事が許せなかった。

 悔しくて悔しくて!「洋介のアホ!」呟いてみたが、みるみる涙が溢れ頬を伝う。信号待ちの黄色い声にまみれて俯いた。

 人の流れの歩調を合わせて青に為ったスクランブル交差点を渡る。

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