第4の魔法「黒竜の血の杖~魔女の元彼?上島広也編」

〇登場人物紹介〇


「上島広也」-かみしまひろや

気の弱そうな二十代後半位の男性。

病気の父親を助けたいと願い。ルミナエール堂に導かれる。


🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛



少し気の弱そうな風貌の上島広也かみしまひろやは、深夜一時五十九分に部屋でスマホの画面を見ながら

二時になるのを待っていた。



そして、二時。広也はスマホに必死に願う。

「ルミナエール。お願いだ。僕は、がんで闘病している父さんを助けたい。頼む!」

その瞬間スマホが光り、広也はあっという間にルミナエール堂に導かれた。




広也が目を開けると、店内におり。店主ルミナエールと知らない少女が立っていた。

「いらっしゃいませ。ルミナエール堂へ。私は木野真理と言いますっ」

真理は、可愛いエプロンドレスを着ており、にっこりと笑顔を向けておじぎをした。

ルミナエールは、広也をじっと見つめている。



広也もじっと見つめ、口を開いた。

「ルミナエール、導いてくれてありがとう」

真理が広也を見てから、ルミナエールの方を見て問いかける。

「ルミナエールさんっ、この人。知っているひとなんですか?」

「ああ、上島広也と言うんだ」

広也は父親が、胃がんで闘病している事を伝えると、ルミナエールに頭を下げた。

「ルミナエールさん。私の魔法で“魔法のお守り”を探しますか?」

「いや、今回は私がやるよ」


ルミナエールは、手を組み念じる。

「ルミナエール堂、広也の願いに応えられる魔法のお守りを私の元へ!」

彼女の身体が淡く光ると、ルミナエール堂が呼応し、奥の棚から小さな杖が飛んできた。



ルミナエールは、受け取るとそれを広也に手渡した。

それは、深い緑色の杖で上部には竜の姿をした飾りが付いている。

「これは、“黒竜の血の杖”と言う。魔法のお守り……。竜の血で作られている。これを使えば、その大いなる力で、あんたのお父様は助かるだろう」

「ありがとう!ルミナエール。金額は、いくらなの?今度、おろしてくるから」


広也が喜び勇んでいると、ルミナエールが心配そうに言った。

「病院代や治療費で、大変なんだろう?お金は、良いよ。その代わり、能力の代償にその竜の気性も受けちまうのがその杖で、危険な代物(しろもの)なんだよ。そして、それに打ち勝てなかった者は最後には、粗暴な竜そのものになってしまうんだ。本当は、あんたに使って欲しくないんだよ」

「大丈夫、大丈夫!こんな物なんかに僕は、負けないから」


彼は笑って、ルミナエールの肩をポンと叩くと彼女は指を鳴らし、元の部屋に戻した。

「ルミナエールさん、大丈夫なんですか?あの人」

真理が恐る恐る聞くと、ルミナエールは真理の背中を叩いて。

「真理ちゃん。私のサポートを頼む。広也を尾行するよ!」



ルミナエールが、真理の肩を抱き、パチンと指を鳴らすと二人は、広也のアパートの前に瞬間移動をした。

広也は、次の日の昼過ぎに父親の病院に出かけて行き、父に杖を使った。

すると、父は竜の力でみるみる全快し、医師達を驚かせた。


ルミナエールと真理が見ていると、広也が病院から出て来た。

彼は、まるで悪魔のような表情をしており案の定、竜の気性に捕らわれていた。

「あはははっ!この杖があれば、俺は支配者にだってなれる!まず、手始めに」

その時、ルミナエールは時を止める魔法で時間を止めた。

「いくよ、真理ちゃん」

「はいっ!」

「「竜の血よ。静まりたまえ。荒ぶるこの者から立ち去りたまえ!」」

ルミナエールと真理は、力を合わせて竜の杖の力と気性を広也から浄化した。



黒い竜の霧が身体から消え去り、広也が倒れ掛かる、ルミナエールは彼を支え、額にキスをすると。

「じゃあね。広也、他の人と幸せにね。これで永遠にさよならだよ」

記憶を消し、彼から黒竜の血の杖を取ると、真理を家まで送ってからルミナエールは

ルミナエール堂に戻って行った。その目元には涙が光っていた。

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