第2の魔法「煌めきのクリスタルオーブ~魔女の見習い」
桜が咲き始める春、真理は学校からまっすぐ家に帰った。
その夜、彼女はルミナエールにお礼を伝えたくてもう一度、深夜にスマホに向き合う。
「ルミナエールさんっ……もう一度、私はあなたに逢いたいです。どうぞ、導いてください」
真理は祈りを込めて、スマホ画面に願った。
すると、あの日と同じく。スマホの画面が光り輝いて真理は、一瞬にしてルミナエール堂に着いた。
「真理ちゃん。いらっしゃい!」
「会いたかったです。ルミナエールさんっ」
真理とルミナエールは、抱き合って再会を喜んだ。
真理は、ルミナエールに母親がおかげで、再婚出来たことと。そのお礼を伝える。
しかし、ルミナエールは、真理にこう言った。
「お母さんのじゃなくて今度は、真理ちゃんの願いを聞かせて欲しいんだ」
「私の……。ですか?」
真理は、突然の質問にきょとんとした。
その様子を見て、ルミナエールは。
「今すぐでなくても良いよ。これから、ゆっくり見つければ良い。」
「そうだ。あんた魔女見習いになって、私の手伝いをしてくれないかい?給料は、あまり高くはないけど。」
「魔女の見習い……。私、やります! 憧れだったの」
真理は、瞳を輝かせて、即答した。
「そうかい。じゃあ」
ルミナエールは、右隣の棚から、小さな宝石のような物を一つ大事そうに持ってきた。
味のある、木製の丸テーブルの上にそれを置く。
その宝石は、無色透明の色で、金の装飾が施されていて、
クリスタルで出来ているようだった。
ルミナエールは、目線の高さまで腰を低くし、真理に伝えた。
「それはね。“煌めきのクリスタルオーブ”と言う、魔法のお守りさ。まだ、魔法を持っていない者を覚醒させるものなんだ。さあ、真理ちゃん。それを両手で、持ってごらん」
「はい」
真理は、煌めきのクリスタルオーブを両手で持ち、眺めた。
すると、クリスタルオーブが輝き始め、それは赤色に変化した。
さらにオーブのフタが開き、中から緑色の宝石が出て来て、真理の額の中にすっと、溶けるように吸い込まれた。
「あっ、私の中に入っちゃった!」
真理が驚いて、ルミナエールの方を見る。
「大丈夫。それは、魔石と言ってね。魔力を覚醒させる物だよ。害はないから安心しな。うん、赤色のオーブから緑の魔石か。これは、想いの力を魔法に変える能力を秘めている。真理ちゃんにピッタリだね。」
彼女は、優しくうなずき微笑んだ。
その時、テーブルの上の水晶玉が、一人の女性を映し出した。
「早速、お客さんが、ここに訪れたいようだ。」
「さあ、魔女見習い真理ちゃん。私の手伝いをしておくれ」
「はいっ。ルミナエールさん!」
真理は元気よく返事をした。
そして、ルミナエール堂に次の客が現れた。
その客はお婆さんで、品が良さそうな女性だった。彼女は、突然の出来事におろおろしている。
ルミナエールは、客を落ち着かせるようにと、真理の背中を軽く二度叩き、合図を送る。
真理は、深呼吸をして笑顔で、挨拶をした。
「ようこそ、魔法雑貨店ルミナエール堂へ!」
お婆さんは、真理の姿を見ると緊張した面持ちから、自然と笑顔になった。
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