第43話 ケイブスパイダー

 エリアは蜘蛛モンスターであるケイブスパイダーの領域。

 アンデッドにとって毒は関係ないので、相性の良いモンスターと言える。


 ゾンビスパイダーは、かなり性能ダウン。

 ゾンビになると素早さが減るからだ。

 だけど、兵士として使うのなら問題ない。


 リリムとメッサがケイブスパイダーに噛まれて運び込まれてきた。


「【解毒魔法】【解毒魔法】。油断したな」

「いつの間にか子蜘蛛が足から這い上がって噛まれたの。動きが鈍くなったところで中蜘蛛にやられて。ご覧の有り様よ」

「鋭刃スキルじゃ広範囲殲滅は出来ないからな。シャランラを主戦力にして護衛に徹するべきだった」

「分かってる。焦りがあったのかも」

「シャランラ、氷魔法で無双しろ。しばらく戦闘を見てやる」

「はい」


 リリムとメッサが前衛で、シャランラが後衛。

 そのフォーメーションで進んでいく。


「【氷魔法、氷原】」


 シャランラの魔法でケイブスパイダーの動きが鈍る。


「【氷魔法、氷礫こおりつぶて】」


 拳ほどの氷の塊が子蜘蛛を潰していく。

 うーん、悪くないんだが、取りこぼしがあったりするし、いまいちだな。

 やっぱり結界ドライアイスかな。


 何かシャランラに貸してやろうか。

 俺の持ってるのでこういう場面で役立つのはあれかな。


「【貸与、洗脳魔法】。シャランラ子蜘蛛を洗脳して味方につけろ。同士討ちさせれば簡単だろう」

「分かった。【洗脳魔法】」


 子蜘蛛は弱いのであっさりと洗脳される。

 子蜘蛛の前衛ラインが出来た。

 そこから漏れてくるケイブスパイダーを、リリムとメッサが始末した。


 始末した蜘蛛をグールが平らげて行く。

 グールは仕方ない奴だな。


「グール、子蜘蛛だけにしとけ」

「ジュル、はい」


 そして、俺達はある一角に立てこもっている聖騎士の一団と出会った。


「解毒ポーションを持ってないか。さっさと出せ」

「死霊魔法使いに頼むのか。おめでたい頭だな」

「下手にでればいい気になりおって」

「隊長、不味いです。戦力的に敵いません。ここは妥協すべきかと」

「くそ、毒さえなければ」


「解毒ポーション、1本金貨1枚だ」

「十倍以上じゃないか」

「嫌なら別にいい」

「買わないとは言ってない」


 解毒ポーションを売ってやった。

 元気になった聖騎士の一団。

 別れ際、隊長は手を差し出してきた。

 握るとチクっときた。


「世話になった。そんなことを言うかと思ったか馬鹿め。死霊魔法使いが、痺れている今だ。やれっ」


 聖騎士達が俺に襲い掛かってきた。

 そんなことだと思ったよ。


「【解毒魔法】【賠償】【次元斬】」


 聖騎士は両断された。


「助けて貰ったのに治ったら襲い掛かるのね」

「聖騎士は狂信者だからな」

「さて、貰ったスキルはどうかな。ステータスオープン」


 貰ったスキルで珍しいのは統率と地図作成。


「【貸与、統率】。シャランラ、統率スキルを貸してやった。子蜘蛛を操るのに使え」

「はい」


「【地図作成】。なかなかいいスキルだな。このダンジョンの地形が分かる」

「これで攻略スピードが上がるのね」

「いいや、モンスターをゾンビにしたいから、今まで通り虱潰しに行く」

「だと思った。プリシラさんの指針剣を使ってないから、そんなことだよね」


 リリムの少し呆れた様子。

 そう言えばスキルの数が凄くなったな。

 貸してないスキルが110個か。

 要らないスキルも多い。

 恫喝とか完全に要らないな。


「【貸与、恫喝、恫喝】」


 とこうして子蜘蛛にスキルを貸与。


「【生贄】」


 子蜘蛛を生贄にスキル発動。


『何を望む?』

「スキルを」

『精神汚染を与えてやろう』


 邪神との取引が終わった。

 ステータスを確認すると子蜘蛛に貸したのは戻ってきてない。


「精神汚染というのは使えるのか。まあやってみるだけだ。【精神汚染、死ね!】」


 敵の子蜘蛛が全部、ピクピクし始めた。

 ピクピクはすぐには治らなかった。

 精神が一時的に汚染されて行動不能になるらしい。

 ボスが使うスタンみたいな物か。


 あと要らないスキルは、とりあえずはないな。

 身体強化とかはいくらあってもいいが、ひとつぐらいいいか。


 邪神が使う身体強化系はどんなかな。

 子蜘蛛に身体強化をひとつ貸与して、生贄にしてみた。


 貰えたのは、邪気功。

 プリシラの説明によれば、邪気を使って身体強化と似たような効果を出すらしい。

 そして使うと邪気に侵される。

 とうぜん浄化で破られる。

 性能ダウンしてどうするんだよ。

 損した。

 ハイゾンビのカーカスに邪気功を貸してやった。

 カーカスなら邪気に侵されても平気だろう。


 なかなか使えるスキルは手に入らないが、今後も要らないスキルが手に入ったら、モンスターに貸与させて、生贄にすればいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る