第37話 ダンジョンアタック

 さあ、ダンジョンアタックの始まりだ。

 ダンジョン、悪夢の洞窟は文字通り洞窟がダンジョンになっている。

 元は鉱山だったようで、入口とかは木組みが見える。


 俺は味方以外には見られていない確認して、アンデッドを解き放った。

 洞窟は暗闇なので、レッサーヴァンパイアも、陽の光に対する弱体化の影響は受けない。


「【光刃こうじん】」


 俺は聖刃に含まれているスキルの光刃のスキルを発動した。

 アンデッドに対して効果のあるスキルだが、灯りにちょうどいい。


 アンデッドに人間を見たら逃げろと言ってある。

 殺してもいいんだが、冒険者達に対して嫌悪感はない。


 進んで行くと、俺の手下のハイゾンビが体中を蝙蝠にたかられてた。

 何やってるの。

 俺は蝙蝠をナイフで刺して助けてやった。


「吸血蝙蝠よ。強敵だけど、ハイゾンビだと、どっちも有効打がなくて千日手ね」

「うー、マスターに感謝を」

「ああいう時は、生命力吸収か、1匹ずつ噛み砕け。血を吸われても平気なんだからいつかは勝てる」

「うー、そうします」


 この道はどうやら、吸血蝙蝠テリトリーらしい。


「じゃあ誘蛾灯を頼む」


 ハイゾンビの体に血を塗りたくる。

 これは冒険者ギルドで売っているモンスターおびき寄せ用のモンスターの血液だ。


 ハイゾンビが先頭を歩く。

 吸血蝙蝠の一団がきて、ハイゾンビにびっしりとたかった。


 ハイゾンビは言われた通り、吸血蝙蝠を掴んで噛み砕いたり、生命力を吸収したりする。

 リリム達もナイフで参戦した。

 アンデッドの斥候は役に立つな。

 死んでも良いのが、とっても良い。


 アンデッドの救護班が、体をバラバラにされたレッサーヴァンパイアを持ってきた。


「【邪回復】、誰にやられた?」


 レッサーヴァンパイアが魔法で元通り。


「聖騎士です。こっちも3人殺してやりました」


 続いてグールも運ばれて来た。

 回復して話を聞く。


「ジュル、相手を全滅させましたが。ジュル、こちらも何人かやられました」


 どうやら聖騎士は何千人と動員されているらしい。

 聖騎士に恨みはないが、不俱戴天なんだよな。

 死霊術使っているのがばれたら、戦闘は避けられない。


「あんた、聖騎士と事を構えるの」


 リリムが複雑な顔でそう聞いてきた。


「言ってなかったよな。最初の復讐のターゲットは聖女だ」

「教会を敵に回すわよ」

「反対しないのか?」


「あんたと聖女様の間に何があったか知らないけど、殺すだけの理由があるんでしょう」

「まあな」

「ちょっと考えさせて」


 リリムとメッサとシャランラが相談し始めた。

 結論が出たみたいだ。


「お家再興は綺麗事じゃできない。清濁併せ呑む覚悟でやるわ。あんたが死霊術を使っているの容認している時点で後戻りはできないから」


 リリム達は賛同してくれたようだ。


「プリシラはどう思ってる?」

「法に則って考えるわ。その法はギルドで定められたものだけど」


「聖女ウザリは金貨10枚以上の物を俺から盗んだ」

「ギルドの法も金貨10枚以上の盗みは死罪となっているわ。ただ私は目に見て聞いたことしか信じない。片方の言い分じゃ判断は下せない」


 聖騎士の死骸が運ばれてくる。

 俺はそれらをゾンビにした。

 戦力が増えて何よりだ。


「関係ない聖騎士を殺しているけど、プリシラとしてはどうなんだ」

「従魔にも正当防衛は認められる。逃げるように言っていたから、先に手を出したのは聖騎士よね」

「まあそうだな。死霊術師はギルドの法に触れないのか?」

「触れない。教会は何かと禁忌スキルを処罰したがるけど、ギルドの法ではスキルは選べないのだから、罪はないことになっている」


 ギルドは裏では禁忌スキル持ちを匿っているのかもな。

 何となくそう感じた。

 教会とギルドと王国は、三すくみのような形なんだろうな。

 俺の知らない密約とかありそうだ。

 でないと衝突しているに違いない。


 ただ、ギルドを後ろ盾とすることも問題がある。

 ギルドのメンバーが聖騎士に逮捕されることはままあると聞いた。

 ギルドは聖騎士から庇ってはくれない。

 自分の身は自分で守らないといけないのなら、ギルドを後ろ盾にしても意味がない。


 プリシラはギルドの猟犬なんじゃないのか。

 そんな匂いが漂ってくる。

 何を追っているのかな。


 俺でないことはなんとなく分かる。

 だがそれなら何で俺と一緒に行動を共にする。

 謎だが、復讐の邪魔をしないなら問題ない。

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