第33話 今後の方針
ゾンビ達が進化して帰ってきた。
白煙を上げている奴がいるが大丈夫か。
アイテム鞄に全員収納。
「グール、レッサーヴァンパイア、ハイゾンビか。プリシラ、こいつらどうなんだ」
「グールは食うことで魔力や色々な力を得る魔法生物よ。アンデッドなのに消化能力があるのが特徴。Cランクね」
「レッサーヴァンパイアは?」
「レッサーヴァンパイアは、吸血鬼なんだけど、レッサーが取れないうちは弱いわ。弱いと言ってもCランクはあるけど。ゾンビより強いが、代わりに陽の光に対して、虚弱性があるの」
「それで白煙を上げていたのか」
「昼間は力がだいぶ落ちるわ。吸血で殺して仲間を増やすこともできるのが特徴」
「ハイゾンビは?」
「ハイゾンビはゾンビの強化版ね。兵としては使い勝手が良いんじゃないかしら。これもCランク」
オーガゾンビはオーガハイゾンビになった。
こいつは強そうだ。
オーガがAだけど、ゾンビになると弱体化するんだよな。
強いモンスターはゾンビになると弱体化する。
今はAランク+といったところか。
着々と戦力が整っていく。
「貴方、リリン家の復興を忘れてないわよね」
そっちの方はいま何も考えてない。
リリム達をSランクにするのは考えたよ。
だがSランクで、得られる爵位は準男爵。
準男爵は一代限りだ。
これでは家の復興が成ったとは言えない。
そのSランクになるのも、ドラゴン討伐などのSランク討伐の功績が必要だ。
そのあとは札束で叩くしかないかな。
「教国に行って帰ってきたら、Aランク試験だろ、そしてドラゴンクラスの出現を待つ。討伐してSランク。その後は金で爵位を買う」
「いいの? 爵位は高いわよ」
「金なんかいくらでも入って来る」
「穴がある計画ね」
プリシラが計画を駄目出しした。
「何が穴なのよ」
「Aランクになれたとして、ドラゴンクラスが現れるのは何年後かしら。その間にウソツキー侯爵は指を咥えて見ているとでも。私ならAランクになった時点で全力で潰しに掛かるわ。Sランクはやめて、爵位を買って、貴族になるのが早いと思う」
「駄目ね。爵位を買うということは養子になるということで、貴族でない人間は貴族の養子になれない」
今度はリリムが駄目を出した。
「じゃあ、結婚ね。貴族のどこかに嫁入りするといいわ。そして夫が死ぬのを待つ。年寄りの貴族なら何人かいるわ」
「それは嫌。好きでもない人と結婚できないわ」
「魔王討伐なんてどうだ。育ち切ってない魔王に奇襲を掛ける」
そう俺が案を出した。
「今の戦力なら可能ね。ただ魔王の噂がないのが、穴よ。情報をどうやって集めるか」
「選択肢のひとつに考えたらどう」
「どちらの計画も大変だと思う。3つ目の選択肢を考える事ね」
プリシラはこの計画も実現性がないと考えたようだ。
3つ目の選択肢か。
プリシラは簡単に言うが、何か手はあるか。
「開拓はどうだ?」
未開の地を開拓して貴族になる小説を読んだことがある。
「この戦力なら可能かもね。武力は足りているし、お金もありそうだから」
「確かに、この戦力なら魔境の一部を切り取って領土にできるわ」
二人ともこの案に乗り気だ。
「3つ同時にやっても、問題はないな。全部やろう」
「二兎を追う者は一兎をも得ずにならないかしら」
リリムの疑問はもっともだが。
「まず、Aランクは開拓するにも必須だ。そして情報を得るために耳を澄ますのは必要だ。もしかしたら魔王の情報も入って来るかもな。開拓を主軸に、最初の二つの案はチャンスがあれば狙っていく。これで良いはずだ」
「パトロンの貴方が言うのなら、それに従うわ」
開拓か。
ゾンビが使えれば早いんだが、禁忌スキルは不味い。
ゾンビで開拓してから、人を募集するという段取りかな。
まあ別の方法としてゴーレムという手もある。
ただゴーレムは決まりきった動きしかしないから、使い勝手が悪い。
いま一番、俺にとって嫌なのは、禁忌スキル持ちとして告発されることだ。
これがされると、全教会が敵に回る。
貴族になる以前の問題だ。
これを解決するのは軌道に乗ったらリリムの前から俺が去ることだな。
でもリリムが嘘判別スキルに掛かったら、罪に問われる。
貴族は拒否権があるけど、貴族になる前だと危ない。
そこを突かれると痛い。
「嘘判別スキルをスルーするようなスキルが必要だな」
「あるわよ。嘘スキルね。詐欺師がもっているわ。準禁忌スキルね」
プリシラは博識だ。
詐欺師か。
どこかで出会えるといいな。
人数分揃えたい。
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