第3話 初戦闘
俺が行こうとすると、受付嬢がちょっと待ってと言いカードを出して来た。
ええとFランクね。
了解。
「早めに武装することをお薦めします」
「金ができたらな」
「この依頼を持っていって下さい。モンスターの死骸は買取場に出せば良いので冒険者に絡まれることはないですよ」
「なんで絡まれない?」
「近隣の農夫、立ち寄った商人、ここに住んでる街の人間もモンスターの死骸を持って来るので」
「そう、ありがと」
渡された依頼票を見る。
常時依頼ゴブリン、ホーンラビット、スライム、ヒール草という薬草採取か。
簡単な依頼を選んでくれたのだな。
ギルドの職員は腐ってないな。
冒険者同士のいざこざには関与しないってことか。
そういうルールなんだろう。
ギルドから出て、尾行がないのを確かめて。
「【賠償】。大漁だな、銀貨が50枚はあるぞ」
そして、冒険者ギルドから戦闘音がした。
泥棒野郎、掏り野郎、さっきまであった金がないという怒声が飛び交う。
財布から賠償を抜き取られたのに気づいたのか。
さっさと退散するに限るな。
武器がないので出来るのはヒール草の採取。
街の城壁の門に行く。
「身分証」
そう言われたので、ギルドカードを出す。
「行っていいぞ」
街の外は森だった。
食べ物はどこかから運んでいるらしい。
別の門なら田園地帯に出るのかな。
だが、森は薬草を探すにはちょうどいい。
依頼票のヒール草の絵を元に探す。
一時間も探すと意外に簡単に見つかった。
コツが分からないと1本も見つけられないと思っていたからな。
田舎のキノコ採りとかまさにそうだから。
「グギャ」
来てほしくないお客さん。
たぶんゴブリンだろう。
ゴブリンに武装はない。
子供ぐらいの身長に、緑色の肌、はげた頭。
少し尖った耳。
そして臭い。
俺はゴブリンと殴り合いになった。
ゴブリンは強敵だと思ったのか逃げて行った。
俺は殴られて満身創痍だ。
鏡があったら多数の痣が確認できるだろう。
「【賠償】。痛くない」
賠償にゴブリンの傷を回復する力を奪ってやったぞ。
一時的にゴブリンの傷の治りは遅くなっているはず。
賠償は金銭でなくてもいいらしい。
だけど、戦闘は痛い思いをするだけだな。
やめだ、やめ。
俺は街に帰った。
市場を探す。
人に尋ねたら市場は簡単に見つかった。
そして、質の悪いヒール草を探す。
束になってて、良く見ると真ん中のヒール草が虫食いのボロボロのがあった。
「それ一束いくら」
「大負けで銀貨1枚でいいや」
「それって相場?」
「もちろんだ。なんか文句があるってのか」
「もらうよ」
ヒール草の束を貰い。
状態を確認する。
やっぱり詐欺だ。
「くくく、【賠償】。銀貨1枚と大きめの銅貨3枚か」
銅貨には大きいのと小さいのがある。
大きいのはたぶん小さいのの10枚分だと思う。
大銅貨3枚の儲けか。
それに薬草。
真ん中はクズだとしても、外側はまともだ。
それなりに売れるに違いない。
俺は買取場に行った。
冒険者以外にも、子供や農夫らしき人も見られた。
ヒール草をカウンターに出す。
ちゃんとしたのとクズな奴を分けてだ。
「仕分けしたのか。こっちでも確認するが悪く思うなよ」
「ええ」
少し待たされて、大銅貨3枚と銅貨7枚を貰った。
やっぱりだ。
銀貨1枚の価値なんかない。
騙されても賠償スキルでなんとかなるから良いが。
念の為ギルドの買取に関して賠償を求めたが、銅貨1枚も貰えなかった。
公正だということか。
市場と買取場を往復して、詐欺のヒール草を買っては、賠償スキルを使った。
そろそろ武器が買えるんじゃないか。
俺は武器屋を探した。
傾いた看板の武器屋があったので入る。
店の中はまともだな。
「短剣をくれ」
「大銀貨3枚だ」
銀貨30枚を払うと。
まいどと言って短剣を渡された。
抜いてみると別におかしな所はない。
もっとも良し悪しは分からないが。
店を出て賠償スキルを使う。
銅貨1枚も戻ってこないところを見ると良心的な店らしい
ズボンのベルトに短剣を差す。
ちょっと強くなった気分だ。
でもゴブリンとはやらない。
薬草の売買でも食っていけるからだ。
金に困ったら、ギルドにたかられに行こう。
あいつら馬鹿そうだから、3回ぐらいは引っ掛かると思う。
市場の詐欺は一度引っ掛けたら、同じ奴だと二度目は怪しまれるだろうな。
そのうち骨董の売買もやってみよう。
さて、宿を探すぞ。
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