第22話 橘詩乃の独白

 部屋から皆が出ていったのを確認し窓の外に目を向ける。今日も暑いな、いや熱が上がってきたのかな。メガネ、取っておこう……。

 悪いことしたな、本当。肝心な時に私はダメだな。


 大河は告白、したよね。絢香はなんて答えたかな。


 もし付き合ったら美男美女カップルだな、2人ともモテるからすぐに噂になって広まるだろうな。


 でも、私と違ってお似合いだ。


 デートとかどこに行くんだろう、遊園地?水族館?カラオケ……は恥ずかしがって歌わなそうだな。

 ご飯も二人で食べて、手を繋いで歩くのかな。


 沢山笑うんだろうな、私も見た事がない顔で。


『後悔しない?』


 昨日の夜から朝比奈ちゃんに言われた言葉が頭を離れない。


 あぁ、本当にバカだな。好きな人に好きって言えることがどんなに幸せなことか、相手から好きって言って貰えることがどんなに幸せなことか。もう私は好きって伝えることすら、出来ない。


 後悔するよ、当たり前じゃん。ずっと好きだったんだもん……。


 外の景色がぼやけていく。




 熱い……熱いな。大河に、会いたいな……。




 ぼーっとした意識の中でまぶたが落ちていく最中、部屋の扉が開かれた気がした。

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