第14話 パンフレットって見るのも楽しいよね
「宿泊研修!一緒の班!ツムツムが私の事いいって言ってくれたんでしょ?嬉しいことしてくれるなーこのこの」
放課後、体育祭準備期間の時の名残か結構な頻度で小森さんにファミレスに誘われる。朝比奈さんのこともあるのでたまにではあるがこうして2人で来ている。
「あーそういえばそうでしたね」
「そういえば!?あんまり深い意味は無かったの!?」
「まぁ僕友達そんなに居ないですし」
明確に友達と呼べるのは2人。朝比奈さんと小森さんだけだ。
「まあそれでも!楽しみだよねー京都だよ京都!八ツ橋と抹茶アイス買うんだー」
パンフレットをテーブルに広げながら楽しそうに話す小森さん。楽しみではあるのだが、正直桐生くんのこともあり緊張が大きい。
「あのさ」
姿勢を正してまっすぐ僕の目を見る小森さん。急な行動に僕も姿勢を正す。
「体育祭さ、その、ありがとうね。リレーの時、私の事応援してくれてそれもあんなに大きな声で」
「あーその事でしたか」
「うん……でも何であんなこと急にしたの?ツムツム目立つの嫌いでしょ?走り終わった後ツムツムの方見たら下向いてたよ」
「そもそも急に実況することになったり色々あったんですけどね……」
末原先輩許すまじ……。
「小森さんって努力家じゃないですか」
「努力家?」
「はい、朝誰より早く来て、放課後は誰よりも遅く残って。その上帰った後も自主的に走ってましたし」
「み、見てたのかー……」
「僕は小森さんのことすごい人だなって思ってます。勉強も出来て運動も出来てコミュニケーション能力も高くて。でも1番凄いのは人が見ていないところでいっぱい努力してるところです。そんな姿を僕はたまたま近くで見ることが出来ました。だからせめて、応援したいなって思ってただけです」
「そ、そっか……」
「他にもですね、お弁当を忘れた友達にお腹いっぱいだからあげるーって言って渡した後、隣の席からお腹の音が聞こえてきたり、風邪で休んだ人のためにノートを2人分とったり、体育の時に運動の苦手な人が少しでも活躍したら大きな声でナイスー!!!とか大きな声で」
「わ、分かった!分かったから!もう充分!なんでそんなに私の事見てるの!ツムツム」
小森さんに言葉を遮られる。
「そういうの気付いてくれてる人がいたら嬉しいじゃないですか」
「……そ、そか。なんか今日はいつもよりデレるねツムツム」
「そうですか?本当の事言っただけですけど」
もうやめてください……と珍しく小さな声で赤面する小森さんなのだった。
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