第13話 眼鏡と虎と②
橘さんとの話し合いから1週間ほど経ち、朝比奈さんと一緒に今日の放課後に前と同じ教室に来て欲しいとの連絡が入った。教室に着くと橘さんと桐生くんが座っている。
「お、きたきた。改めて紹介するね、こちらが桐生大河」
「桐生大河だ、話は聞いてる。よろしく頼む、七瀬」
「あ、はい。七瀬紬です、こちらこそよろしくお願いします」
「それで早速作戦内容なんだけど……」
「待ってくれ詩乃、その前に俺から言わなくちゃならねえことがある」
「え?」
そう言うと桐生くんは勢いよく立ち上がり、歩き出したかと思えば突然膝をつき、頭を下げた。へぇ……と横から朝比奈さんの声が聞こえる。
「俺なんかのわがままに付き合わせちまってすまねえ、2人共。本当は漢らしく一人でやるべきところだが、どうか俺が告白するのを手伝って欲しい!」
「あ、頭を上げてください、桐生くん。」
「そうだよ、時間ないんだからほら座った」
「……すまねえ」
そんなこともありながら3人(4人)の作戦会議が始まった。
「まず決行日だけど7月の宿泊研修で告白するってことで話は進んでる、あとはタイミングだね。私と七瀬くん……あと朝比奈ちゃん(小声)で何とか二人きりにするって感じ」
「なるほど、仕事が明確でいいですね。出来ることならいい雰囲気作れるような場所で2人きりにしたいですね。」
「うん、ただ……」
「基本は班行動、ですもんね」
「ああ、5人1組だから、俺、詩乃、七瀬、絢香……あと1人は迷ってる感じだな」
ふむ……というか当たり前の様に僕の名前が入っている。宿泊研修の班どうしたらいいんだと最近眠れなかったので思わぬ誤算だ。助かる。
「もう1人誰がいいとかある?七瀬くん。付き合わせてるわけだしさ」
もう1人か……、ぶっちゃけ思い当たる人物が1人くらいしかいない。
「小森さんとかダメですか?」
「へぇ……いいと思うよ」
「じゃ、メンバーは決まりだな」
続いて何日目の何処で告白をするか。
「桐生くんはどこで告白したいとか希望はあるんですか?」
「そう、だなぁ……詩乃は告白されるとしたらどこがいいんだ?」
「え!?私?」
自分に聞かれるとは思わなかったのか少し取り乱す。橘さんにしては中々見れない光景だ。念入りにメガネを上げている。
「う~ん。まぁ……夜寝る前とかに呼び出されてーとか、旅行先なら神社とか?わ、分かんないけど」
「そうか……よし、神社に決めた」
「え?そんな簡単に決めていいの?私今適当にいったよ?」
「大丈夫だ、お前が言うことに間違いは無い」
幼なじみだからということもあるのだろう。信頼し合ってるんだなぁ……。
「……じゃ京都の神社で、か」
「よしそんな感じだな。改めて2人とも、3日間よろしく頼む!」
そんな感じで秘密会議は終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます