第7話 体育祭準備、時々小森③
あのファミレスから数日が経ち体育祭の準備も本格的に始まりだした。今日は朝比奈さんは居らず、1人だ。
ここ数日はずっと一緒に居たので正直とても心細いがそんなこと言ってたら楽しい高校生活は夢のまた夢。頑張らなければ。
僕の高校は4クラスあり、その内2クラスずつ赤組白組に分かれて1年生から3年生の全学年で行われる。
僕のクラスは1年1組なので、2組と赤組。3、4組は白組となった。赤組の各クラスリーダーの話し合いが今日行われる。
「ツムツム行くよー」
「あ、はい今行きます」
小森さんに呼ばれ教室を後にする。
「どしたん?絢香、男子見つめて」
「美羽ってあの男子とあんな仲良かったっけと思って」
「あー七瀬くんね。同じ体育祭のリーダーだからじゃないの?」
「ふーん、ま、どうでもいいけど」
……
話し合いが行われる3年生の教室に着き、1年1組の席に座る。上級生の教室はちょっと緊張する。
とはいえ特に変なことも無く、合同応援練習の日程や種目の説明、当日の道具の準備や片付け等淡々と3年生による説明が行われた。
「こんな感じだけど、なにか質問とかあるー?」
堂々とした態度で話すのは3年1組姫松先輩。陸上部のキャプテンでクラス対抗リレーのアンカーらしい。私が必ず勝ってみせるからと頼もしいことを言っていた。
特に質問等は無かったのでそのまま解散となった。
「ツムツム今日暇?当日どの競技に誰が出るか早めに決めとかなきゃいけないからさ」
「了解です、じゃあ教室戻りますか」
「や、前に話したファミレスでやろーう、私ポテト食べたい」
「分かりました」
ちょっと驚きはしたがファミレスに移動。すごくアオハルな事をやっている気がするが朝比奈さんと結構立ち寄るので女の子とのファミレスに慣れてきていた。ありがとう、朝比奈さん……!
「とは言っても男女で大体の種目が分かれてるし、最後に行われるクラス対抗リレーに誰が出るか決めるくらいなんだよなー、足速そうな人には声掛けといてるから返事次第だねー」
「……」
「ちょっとー聞いてるー?」
「小森さんってちゃんと仕事しますよね」
少しの時間ではあるがここ数日共にして気づいた。会議中にちゃんとメモ取ってたり予め声掛けてたりとすごい働きぶりだ。コミュ力高くてこういう所は真面目で……なんというかハイスペックだ。僕も頑張らねば。
「まあこれでも自分から立候補したし、責任ってものがありますから」
「それに、対抗リレーのアンカーやる予定なんですよね?足速いんですか?」
「一応中学で陸上やってたんよ、部内で真ん中くらいの速さだったけどねー」
「へええ……」
思わず拍手をしてしまう。
そんなこんなで出場競技についてはパパっと終わった。
「んー……っ!まだ時間ある?少しだべってから帰ろうぜ、ツムツムー」
「分かりました、大丈夫ですよ」
今日学校に行く前に朝比奈さんからは体育祭のこともあるし少しは自分のことも優先してねと言われていた。無理に手伝ってまた沢山謝られるのも酷なので少しくらいならいいか。
「ツムツムはさなんか毎日忙しそうだよね。放課後とかすぐ帰ってない?」
「忙しいというか、探すのを手伝っているというか……」
「探す?」
「はい、知り合いの女の子がとても……とても大事なものを無くしてしまっていて、ちゃんと見つけるまで手伝うって決めてるんです」
「へえ……、大事な友達なんだね、その人」
「友達……」
「あれ違った?もしかして彼女とか?」
「いやいやいや!まさか!違くてその、友達って確認したことがないですし恐れ多いというか」
「ふーん、まあツムツム女の子みたいな見た目してるからなー。私的には男子と話してる感じしないし話しやすいよ」
「お、おぅ……」
「えー何何ー、私に男として見られてないのが悲しかったのかなー?ごめんなツムツムー」
「いえそんな事は断じて無いですけど」
「なんか容赦なく言うようになってきてるよね」
気づけば外は暗くなっていた。そんな外を見つめる僕に気づいたのかそろそろ解散にするかーと小森さんが言った。
外に出るとまた明日ねーと手を振り走って行った。
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