第一章 体育祭と小森美羽
第5話 体育祭準備、時々小森
現在時刻午前8時、5月ということもあり少し暖かい気候である。周りから見れば1人で登校している高校男子なのだが、実は隣にもう一人いるのだ。
「良かったんですか?朝比奈さん、学校まで付き合ってもらっちゃって」
「うん、実際に私もこの目で見てみたいし、七瀬のクラス。それにちゃんと手伝うって決めたから。友達作り」
とても心強い……。近くに味方がいてくれてるという事実だけでも本当にありがたいことだ。
家を出て大体10分程歩き、学校に着いた。クラスに入り席に着く。入学から1ヶ月も経つとグループはほぼ形成されている。大半の人はぼっち回避の為どこかしらのまとまったグループに入り、やれ昨日のテレビの話やYouTubeの話をしている。
そんな中できる限り小声で朝比奈さんと会話をする。
「あそこにいる5人のグループ、今は5人しか来てませんがいつも6人でよく行動しています。あれがこのクラスで1番華々しいグループです。前の席にいる
「なるほど、グループ内で同じ人好きになったらヤバそうなやつだね」
「確かに……」
そんな中大きめの声がクラスに響く。
「おっはよー!!あややん!何、朝から元気ない顔だね~寝不足?」
「おはよう、あんたが元気すぎるだけでしょ。つかうるさい声デカ」
「みんなもおはよ!私は元気なのが取り柄だからね」
そう言いながら姫野さん達と話し始めた。あの子は?と視線で朝比奈さんに質問される。
「あの人は
「それと?」
「入学前に唯一SNSの個人トークで話してたんですけど、実際に学校が始まってから全く話せずそのままって感じです。見てください、最後に話したの1か月前です。ちなみに僕の隣の席です」
「いや見せなくていいから……でも、ふーんなるほどね」
何かを考えるように呟く朝比奈さん。どうかしたのかと聞こうとしたタイミングでチャイムが鳴り、後で聞くことにしようと心にしまった。
特にそのまま何が起きることも無く、LHRの時間になった。体育祭が近いということでリーダーを男女それぞれ1名ずつ挙手制で決めるという。
先生が誰かやってくれないかという言葉を聞くと小森さんが我先にと元気よく手を上げていた。
だが……。
「男子は誰かいないかー?」
そのまま誰も手を挙げず、これ以上は時間が取れないという事で男子全員でジャンケンで決めることに。仕方が無いとはいえそんなのでリーダーを決めていいのか、先生よ。
「まずいです朝比奈さんどうしましょう」
「グーでいってみよう、私じゃんけん強い気がするし」
前に集まり、じゃーんけーん……。
「お、七瀬に決まったか。じゃあよろしくな、みんな拍手」
ぱちぱちぱちぱち……。
「だからグーって言ったのに」
朝比奈さんの声が左から右へ流れる中、陰キャにはあまりに心配な体育祭準備期間が始まった。
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