第2話 初めまして透明ガール②
「君、もしかして私が見えてる?」
「……え?」
「どんな服着てる?どんな髪の色してる!?」
少し語尾を強めて彼女は喋る。意味のわからない言葉を急に言われて少し動揺したが僕は聞かれた事を喋った。
「……ふ、服は制服です。どこの学校のかは分からないですけど。髪は金髪です」
普段から人をあまり見ないようにしていたので少し遠慮しがちに彼女の顔や姿を見ながら答えた。金髪だし少し怖いけどかなり顔面偏差値が高い……。
「……」
「あ、あの?それが何か……」
「私、記憶が無いの」
「はあ」
「気づいたら知らない公園のベンチに寝てて、何も覚えてなくて、記憶も自分の名前しか覚えてなくて……。しかも誰に話しかけても無視されて」
「なるほど」
「3日くらい……色んな人に話しかけ続けて、気づいた。私の事誰も見えてないの、声も聞こえてないっぽくて……それで」
「聞こえてないんだろうなって思いながら君に話しかけたら、返事が返ってきた」
「そうですか……」
まずい何を言ってるのか全く分からない。情報量が多すぎる。一旦情報をまとめてみよう。
・この人が言うには記憶が無い
・気づいた時には公園のベンチで寝てた
・僕にしか見えてない。
「いや無理無理、何ですかそれ」
「信じてないみたいだね……」
そう言うと彼女は近くを通ったおじさんの頭を叩いた。
「え!?なにしてるんですか!」
急に大きな声を出した僕におじさんはびっくりしてこっちを見たがそのまま歩いていった。
「ね?見えてないでしょ」
「……」
「君にだけ、見えてるの」
ふと周りを見渡すと周りの人達が僕を見ては目を逸らしてを繰り返していた。1人でずっと話していると思われてた……と。
現在進行形で訳が分からないことが起きていてぽかーんとしてしまう。
「とりあえず君、今学校帰りなんだよね?ここじゃ変な目で見られちゃうし君の家に行こうか」
「はあ……はあ!?いやいやいや、女の子がそんな簡単に男の家とかダメですよ!」
「でも私他の人に見えてないし、変なことしないよ。君が迷惑じゃなければだけど」
「迷惑じゃなければって……」
正直、半信半疑だ。さっきは実際に頭を叩いているところを見た、見たけどさぁ……。急にあれだこれだと説明されても混乱してしまう。
改めて、彼女を見た。
「……」
拳を握りしめて僕の答えを黙って待っている。仮に、もしも彼女の言ったことが全て本当のことだとしたら混乱しているのは彼女の方だろう。3日も何も分からず誰にも気づかれない。そんな中自分に気づいてくれる人が居た。必死に、なるのも分かる。
……。
「分かりました、付いてきてください。でもあなたの話したことが嘘だと分かるような事があればすぐにでも追い返します」
そう言うと彼女は心底安堵した顔で
「ありがとう……、私の名前は
「紬、
「ん、よろしく七瀬」
「……はい、朝比奈さん」
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