第10話
翌日、珍しくスッキリ起きれた。
E級になったことで重荷が少し下りたのか、それとも始まりの意味を指してるのかよくわからない。
いつも通りのルーティンをこなしつつ、新しい狩場を探すためにE級のダンジョンを探す。ダンジョン出現の情報が更新されていることに気づき、情報サイトを漁る。
「うーん。ちょっと遠いが、悪くないな。武器もまだ直らねぇし、スペアの武器でも買っていくか……」
正直、斧だけじゃあ心細いと思っていた頃合いだった。なら丁度いい、斧以外の武器の練習もしていくのが今日のタスクとなるだろう。
支度後に玄関に近づくとブザーが鳴る。
また舞がスカウトしに来たのか?あれだけ断ったはずなのだが……。
渋々と玄関を開けると、そこには黒いスーツを着たいかにも暴力団ですと言ってるような集団が家の前にいた。
危険と感じた俺は即ドアを閉め、鍵をかける。勿論、チェーンもかけた。異能で無理矢理開けられてもいいように、買ってきた対異能用のアイテムを設置する。
「畜生、舞の奴……何をした…!?めっちゃヤバそうな連中が玄関の前で屯ってるんじゃねぇか…!!」
しかも、玄関越しからでもわかる。あいつらは間違いなくⅭ~B級の探索者並みの実力を持っていやがる。数的に8人以上。強行突破は死を招くだけだ。
何だ?何が目的だ?借金もした覚えもねぇし、他から喧嘩を売られねぇように行動をしていたのに、なぜこんなことに?意味が分からない。
やったら大スキャンダルもいいところだ。さっさと帰ってくれ。
やたらと玄関のブザーが鳴る。
「クソ…! 下手なホラーより怖いことしてんじゃねぇよ……!」
どう突破する?余程のアクシデントがねぇとあいつらは引かない気がする。だからと言って何もしてこないのはむしろおかしい。
何度も玄関のブザーを鳴らす。その五月蠅さが余計に恐怖を増す一方、外側から声が僅かに聞こえた。
「駄目だ。出てこない」
「兄貴、俺らがそんな格好にしたから借金取りと間違えてんじゃねぇかい?」
「馬鹿が、
は?
何であんな服装でこっち来てんだ!?
っていうか使いが物騒な格好してんじゃねぇよ!今までのイメージがぶち壊しになってんじゃねぇか!
だがどうする。ああいったやつらを使ってまで俺に接触する理由は何だ?
ヘッドハンティングは断ったはずだ。諦めきれない理由でもあるのか?
考えているうちに、外から別の車が停車した音が聞こえた。
勿論会話も丸聞こえだ。
「何をしていたの?輝と言う男はまだ捕まえてないのかしら?」
「す、すいません!俺らの姿を見て、籠城してしまいましt」
その会話の途中、鋭い蹴りが入った音が聞こえた。
「それはあなた方の態度の問題でしょう?そんなヤクザみたいな服装で、右ポケットに徹甲弾入りの拳銃、ステルス装備の短剣。明らかに彼を殺す気じゃない。スカウトする気はないの?」
「も、申し訳、ありません!」
どうやら部下を叱っているようだ。しかし、さっきから聞こえる声。
女性か?いや、それにしては幼いような……。
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