第9話 奇跡を狙う者の回
「……」
ある街の上級国民の住まうエリア。そこにある豪邸に一人の少女が多くの部下に囲まれながら、席に座る。
彼女の名は「
そんな彼女の異能は3つあった。
・【弓帝】:弓を扱って戦う際のダメージが数十倍に跳ね上がる。
・【観察眼】:目に力を集中させ、相手の全てのステータスと弱点を見抜く。実力が高ければ高いほど見抜き辛くなる。逆に相手が弱ければ簡単に見抜ける。
・【赤き神帝】:近距離・遠距離の武器を使用する際、その熟練度がかなり上がりやすくなる。また、自身の実力によっては武器に炎属性が常に付与される。
これほど強力な異能を持っていてもスカウトに失敗したことに、彼女は苛立ちを感じていると同時に、奪おうとしている者がいる始末。
「……時間がない、輝は余が手に入れる。大企業が相手であろうと譲れぬ」
テーブルに置かれたワインを飲み干し、思考内を整理する。
(だが、奴はこれほどの待遇を退け、底辺の道を選んだ。しかもE級へと成りあがってるが、このペースでは先が思いやられる。この国の探索者ギルドはどこまで腐敗しておるのだ?)
輝のような優秀なバッファーが底辺にいる訳がない。彼女の観察眼は嘘をつかず、ありのままの情報を伝え続ける。
「……輝の家族に関しての情報はどうなっておる?」
機嫌が悪そうにしてるが、冷静に部下と喋る。
「現状、彼の妹と父親が稼ぎ頭になっており、母親はどうやら病に伏してるとのことです」
「ふん、絶縁した薄情な家族か……そのせいで奴は一人か。当時のPTのメンバーは何をしておる?」
「現在はB級の探索者PTとしてコツコツと活躍しているようです」
「デアルカ……ご苦労。汝は休め」
情報収集をしていた部下を下がらせた後、書類を確認する。
(薄情な家族に、クズの集まりか…こんな事をされても雑草が如く強き魂を持つ彼は何としても手に入れなければならん。家族の件は放っておけ、やがては自滅へと向かっていくだろう。問題は奴を陥れたPTだ…B級とは恐れ入ったが、手を汚さずに多くの犠牲を払ったのだろうな。こういったものを余は「寄生虫」と呼ぶのだが…)
舞は書類を手放し夜景を眺める。
「
カーテンを閉め、一瞬で寝間着に着替える。
「諦めぬぞ。あんな忌々しい他所の国の王子と嫁ぐなど、あってはならぬからな」
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