第3話

「では一撃で倒して見せよう」


舞は強弓を構え、弓を引き絞る。俺は並べく攻撃が当たりやすくなるよう、自分から囮に出た。


「オラオラ、かかってこい。低級探索者を舐めるなよ!」


攻撃として手斧を振り、鉄の装甲に切り口を入れようとするが…。


ガキィン!


見事なくらいに弾かれた。やっぱ攻撃力がなまくらの鉄斧だと切れ味が欠ける。

だが運よくヘイトがこちらに向いた。ゴーレム系統の魔物は装甲が強固で一発の攻撃が強い代わりに攻撃・移動速度が遅い。そのため動作が読みやすく、攻撃を避けやすい。


「避けよ!放つぞ!!」

「俺を巻き込むんじゃねぇぞ!」


強弓の矢が放たれ、アイアンゴーレムに被弾。全ての攻撃が致命の一撃クリティカルヒットになったため、その頑丈な体が木っ端微塵に消し飛んだ。


「ほう、なかなかの威力じゃな。やはり世の目は狂っていなかった」

「はぁ……討伐完了だ。後はダンジョンコアを破壊すれば終わりだが、今回は狩りだ。帰るぞ」


ボスの魔石を持ち、ダンジョンを出る。ただ、彼女がいるだけで狩りの効率が大幅に上がったのはいい事だ。だが底辺の探索者と組みたいというS級探索者の意志が分からない。


若い力を育てたいのは分かるが、舞自身は若すぎる。こういうのは探索者を育てる教育機関に保護されるはずなんだが……。


そう考えながら、俺達は帰路へと歩く。



「えーと、換金合計は500万円、二人で分ければ250万、今日だけは黒字だな」

「む?今日だけとはどういう事じゃ?」

「いやいや、たまたま運よく組んだけれど、お前は俺と組むよりも同じS級かA級探索者達と組むべきだ。俺は結局足手まといでしかならない。……悪いが今日は解散だ」

「ま、待て!」


呼び止めを聞かず、その場を去る。実質俺はバフと囮しかやってないので、本来は撃破した舞が多く貰うんだが、どうやら俺は強欲過ぎたらしい。そんな奴とは組むべきではない。俺の勘がそう告げていた。


他のところに行っても彼女ならうまくやれるだろう。

なんせ強弓の一撃目でで30匹以上の低級の魔物を屠れるんだ。肩慣らしにもならない。


自宅に着いた後、いつも通りに風呂、夕食を済ませ、ニュースを見ながらベッドの上で眠りに落ちる。250万の大金があるから、これで1カ月は保てる。が、ボス討伐という悲惨な目に遭った。ハイリスクハイリターンは程々にしなくちゃな。



翌日、俺は朝早く起床し、いつものルーティンで朝を済ませるが、今日は武器の新調だ。流石の鉄斧だけで討伐するのも骨が折れる。そこでワンランク上の斧武器を買う事にした。


「いらっしゃい、何を求めで?」

「E~D級の斧系武器を見たい」

「はいよ」


どれも40万以上してて高いが、威力と性能は折り紙付きだ。


「変形機構の付いたロングアックスか……名は「悪魔狩り」か、御大層な武器だ」


値段は60万……高いな。だが買えるな。

先ずは手始めに動作を確認する。ふむ、手斧モードと戦斧モードがあるのか。

これで60万とは破格だ。切れ味も良すぎて逆に怖いが。


「これを買いたい」

「お目が高い!お買い上げどうも!」


店を出て、コンビニへと足を進める。

情報誌を購入し、帰路へと向かう。


その最中、一人の少女……いや、幼女が道に迷っていた。


「お嬢さん、迷子か?」

「は、はいぃ…実はこの街に来るのが初めてで……」

「そうか、駅まで案内するから、そこで親に連絡しな」


そう言って俺は幼女を駅まで案内する。この街で唯一交番があるのは駅だからな。



夜、駅へと案内され、交番で帰りを待っているはずだった、一人の幼女が荷物を下ろし、案内してくれた男と別れた後、帽子で笑みを隠しながら言う。


「見つけた。奇跡を使う男……絶対にものにして見せる」

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