異世界召喚管理部

異世界の神界にある部署が存在している。

その名は「異世界召喚管理部」。

この部署が扱うもの、それは異世界からの召喚に干渉して、その召喚に対処することである。


・CASE1


召喚理由 世界の危機である瘴気の除去


召喚対象 別世界で死亡した者


召喚後の状況 召喚者に対しての万全の対応


召喚者の心情 今回の召喚に感謝


 「この様子だと加護は最大限でいいかもしれませんね。」

 「ええ、この世界の人間達、召喚者ともに問題は無さそうですし、瘴気に対する最良のスキルをつけるように申請しましょう。」


結果 世界の瘴気は危険性のないレベルまで下がり、召喚者達が穏やかで幸せに過ごすことができることとなった。


・CASE2


召喚理由 自国の邪魔になる他国の排除


召喚対象 別世界の素質ある者


 「これは粛清対象ですね。」

 「召喚に横入りして、召喚者に事情説明して、人柄を見てスキルを与えましょう。」


召喚者への説明 召喚されたことに憤り、すぐに帰還できるように契約。召喚国へ対してのみ使える罰のスキルを与える。


召喚後の状況 召喚国には罰が与えられ、国が弱体化。隣国が召喚者からの知らせを受け、国を制圧。隣国は善政をしていたこともあり、国は前よりも良い国に。召喚者も元の世界、元の時間へと送還完了。


 「今回の召喚者は欲のない人で助かりましたね。」

 「たまに『異世界召喚ヤッホー!』とかいうのがいるからな。」


・CASE3


召喚理由 世界征服

召喚対象 世界征服する力あるもの

召喚前の状況 強制的に奴隷する首輪を持ち、準備中。


 「これはかなりまずいですよ。」

 「ああ、即座に召喚に横入りだ。」


召喚者の状況 作業服らしきものをきた男性。状況を伝えたところ、召喚時に盲目にして欲しいとの希望。理由を聞いたところ、それが1番安全。そして、こちらには決して、自分の周りを見ないようにと言われる。


召喚時 心配しつつも映像は見ず、音声のみでの監視。音声のみの記述。


 『さて、今回の者は使い物になるか・・・。

なんだ、この見窄らしいものは!』

 『落ち着いてくだされ、今スキルを確認いたします。

・・・何?盲目?しかも自分へ対するものだけ!?』

 『なんということだ。

これでは召喚した意味が・・・うん?貴様何を持っている?

それは絵か?なんと悍ましい化け物だ。

悪趣味だな。』

 『?召喚陣に異常が?な、なんだ、絵の化け物がなぜここに?」


グシャッ。


 『ぎゃあああ!』

 『各自、応戦しろ!』


しばらく、戦闘音が聞こえ、静かになる。


 『ああ、聞こえるか?

あんたらの心配事は片付いた。

報酬として、俺を元の世界の安全な場所へと帰還させてくれ。

後、写真を燃やしたいから手元に火を頼む。』


連絡を受け、手元に火を発生させ、焼却したのち、召喚者を安全であろう場所へと帰還させた。

後日、召喚場所を確認したところ、召喚されたと見られる城には夥しい血と肉片が広がっていた。

そして、それを成したものを確認することはできなかった。


 「結局、何がここまでの惨劇を起こしたんでしょうね。」

 「映像を確認すれば、わかるだろうが、嫌な予感がする。

映像は破棄させよう。」


後日、映像は破棄されたのだが、一部、映像が残っていたようで、興味本意で映像を確認した職員が1人なくなった。

密室内で映像は残っておらず、踏み込んだ者が見たのは城と同じ惨劇の後のみ。

神界にまで効果を及ぼすものの存在が危険視され、その日の召喚映像は全て、消滅させられることになる。


 「この仕事、危険性はないと思ってました。」

 「俺達は監視し管理しているが、復讐対象になる可能性もゼロじゃない。肝に命じて、業務に励むとしよう。」


こうして、日々の管理は続いていく。

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