4 異常

俺がヴェルデルトとの接触を終えた次の日の朝。






寮の窓から差し込める朝の光。

鳥の…鳴き声。

涼しげな風の音。


気分は…晴れているはずだった。



しかし、何だか調子があまり良くない…気がする。


「ぐはっ」


俺は意識が一瞬、フラっとしてベットから転げ落ちた。


「何だ…?」


何だかとてつもなく気持ちが悪い。


「食あたりか?」


そう思い、スマホの検索エンジンで食中毒の症状を調べようとした。

だが…


「うっ…く、あああ」


その時俺の中に大きな衝動が走った。

びっくりして俺はスマホを投げ飛ばしてしまった。


今、一瞬ものすごく怖いものを見た気がする。

心臓の鼓動が耳まで響いてくる。


「く…苦しい」


心臓の鼓動はだんだんと早くなっている。

ドクン、ドクン、…

息が苦しい。

呼吸のスピードが何だか異常に早い気がする。

俺は人生で初めて、「死」を肌で感じた。



とりあえずこれは病院に行った方がいい。



でもそれには先ほど投げ飛ばしてしまったスマホを取りに行かなければならない。


俺は、四つん這いになって赤ちゃんのように部屋を歩く。

視界が闇に包まれたり戻ったりとチカチカしている。

さらにはピントの合わないレンズのように視界もぼやけている。



そんな中、やっとの思いで俺は、スマホの「電話」アプリから119に電話をかけることができた。


「消防です。火事ですか、事故ですか?」

119番、なんてかけるの人生で初だな。


「ええと…事故?ですね、龍…御寺高校の…寮…百四十四号しt…」

俺はそこで意識を失った。

「大丈夫ですか?聞こえていますか…?ええと、龍御寺高校の寮の144号室ですね、今すぐ向かいます」


そこで通話は途絶えた。


___________________



とある部屋にて。


背の低い一人の女子生徒と背の高い金髪の男子生徒が話している。


「ほんとに良かったの?ベゲタミン致死量なんて死んじゃうんじゃない?」


「…『あの方』の命令だ。しょうがない。」


「でも…私には秋元って子がすごい人には見えないんだよね」



「正直俺もピンと来ていない。だけど、今回でそれがわかるだろう。



「へえ、アンタ殺人犯になっても知らないよ〜」



「大丈夫だ。『あの方』が考えることだ。もしこれで秋元が死んだらあいつは『その程度の人間』ということだ。」


「…俺たちは『あの方』に従うだけだろう。」


そんな男の一言で会話が途切れた。

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