異世界に召喚された俺だが、現代で培った格ゲーの知識と技術で余裕で生き抜いて見せる~ステータスが俺だけ格ゲー仕様だったけど、最強だから問題ありません!~
第8話 格ゲーマーでも依頼をこなすには準備が必要
第8話 格ゲーマーでも依頼をこなすには準備が必要
「トーヤ、何してるのだ?」
「あぁ、ちょっとポイントを割り振っていたんだ」
「ポイント?」
ギルドを出てから、トーヤは足を止めてステータスをチェックしていた。ただポイントを振るというのはこちらの本来のステータスには無い機能なので、キャミーも?顔である。
「こっちの話だ。ま、少し待っていてくれ」
そして格ゲー風のステータス画面でステ振りを終わらせる。今回は技量■で覚えられる必殺技やスキルを更に増やしていった。
ステータス
名前
性別 男
TP10
打撃■■■
投撃■■
速度■■■
防御■■
気合■■■
技量■
体力●●●●●●●●●●
気力●●●●●●●●●●
必殺技
破天、破天降、鮫焔、破光拳、破光空拳、シュートコンボ、鋭刃脚、地獄天国
必殺奥義
逆転奥義
究極奥義
スキル
フレーム眼、避け、空中コンボ、ラッシュスリー、キャンセル、浮撃、フルガード、ダウン回避、防御力10%上昇、スーパーダッシュ、投げ抜け
こんな感じであった。技量は一つ上げるだけでも随分とSPを消費してしまうので今回は無しとした。スキルを色々と増やしたが実は姫や団長、他にもすでにかなりの相手をコボっていたのでSPがかなり増えていたのだ。おかげで基本的なスキルや必殺技は揃えることが出来た。
「よし、俺はこれで大丈夫だ」
「大丈夫って本当に武器とか防具はいらないのか?」
「そんなもの必要ない。俺は武器系のキャラより素手系が好きなのだ」
「本当、言っている意味がさっぱりわからないな」
キャミーが頭を擦りながら目を細めた。彼女にとってみれば碌な装備も身につけようとせず戦いに挑むトーヤが信じられない。
勿論、中には拳で戦うのを主としている拳闘士というのもいるが、それでも拳に嵌める装備ぐらいは用意する。
だがトーヤはそれすら必要ないと言っているのだ。
その後、キャミーは薬を扱う店に趣きポーションを購入した。怪我の治療は勿論盗賊は毒などを利用することもあるので用意しておいた方がいいようだ。
「毒か。その時はそれくれ」
「いや、自分で買えばいいだろうそれぐらい」
「持っていたら戦いに邪魔だ」
「だったら私みたいに魔法の袋でも手に入れるのだな」
キャミーが腰に手を当て諭すように言った。トーヤの頭に疑問符が湧く。
「なんだそれは?」
「本当何も知らないのだな。こういう魔法の掛かった袋だ」
キャミーが腰に吊るした袋を示しながら言う。
「小汚い袋だな」
「失礼な! どこが小汚いのだ!」
キャミーが眉を怒らせる。しかし、確かによく見ると随分とボロボロで黒ずんでもいた。
「何か妙なのもこびりついてるぞそれ」
「これは血だ。落ちにくいのだ」
「……自首しろよ」
「何勘違いしてるのだ! 大体モンスターだぞ! 人のは賞金首だ!」
あぁ、それでも人の血もこびり付いてるんだな、とトーヤは目を細めた。
「どっちにしろ洗濯ぐらいしたらいいだろう」
「面ど、い、忙しくてそんな暇ないのだ」
「今面倒っていいかけただろう?」
トーヤのツッコミにギクッと肩を上下させるキャミーであった。
「日常生活はイケてなさそうだな」
「う、うっさいわね! ほら準備が出来たしさっさと行くぞ!」
結局薬の件は有耶無耶になったがキャミーが色々持ってるなら大丈夫だろうと判断するトーヤであった。
「さぁ行くぞディカプリ」
「ブルルン!」
そして町に出る直前キャミーは白馬を一頭連れてきた。どうやら馬房にあずけておいたらしい。
「これはお前のなのか?」
「そうだ。これでもジョブは騎士系のソードナイト。馬ぐらいもってないとな。フフフッ」
愛おしそうに白馬を撫でるキャミー。その姿を見ながらトーヤがいった。
「これコボってもいい奴か?」
「いいわけないだろ! アホなのか貴様は!」
既にコボるの意味を理解していたキャミーが目をむき出しにして叫んだ。
「チェッ。こっちならもしやと思ったんだがな」
「何がもしやだ何が」
益々幸先が不安になるキャミーである。
そして馬を連れたキャミーと町の外に出るトーヤ。門番に見送られる形で出た後彼女に目的地について尋ねた。
「それで盗賊はどこにいるんだ?」
「情報では向こうに見える山だ」
キャミーの指差した位置に確かに山が見えた。目算では標高1000~2000mといったところか。
「徒歩で行ったらそれなりに掛かるがディカプリとならすぐだ!」
「そうかよっこいしょっと」
「ヒヒンッ!?」
キャミーから話を聞きトーヤが早速馬の背に跨った。キャミーはまだ手綱を握ったまま騎乗しておらずポカンっとした顔を見せている。
「どうした行かないのか?」
「き、きき、貴様が何故先に乗るのだ!」
「え? だってあの山に向かうんだろ?」
「そうはいったがこれは私の馬だ!」
「自分だけ乗って俺には歩けということか。仲間なのに冷たいやつだ」
「私は貴様を仲間だなどと思ってない! 仕方ないから一緒にいくだけだ! それに百歩譲って乗せてやるにしても何故貴様が先なのだ! 私だってまだ乗ってなかったのに!」
衝撃の事実だった。なんとキャミーはこれが初騎乗だったのだ。
「偉そうに行ってたのに初心者の若葉ちゃんだったのか」
「だ、黙れ! 馬だって安くないのだ。それに練習では乗ってる! だからこそ馬術もLV1なのだ!」
どうやら訓練することで馬術というスキルが上がるらしい。
「おいおい。そんなので大丈夫なのか? 振り落とさないでくれよ?」
「貴様は馬に蹴られて死ね! いいから一旦降りろ!」
やれやれと一旦は飛び降りるトーマであった。
「全く――」
そしてブツブツいいながらも改めてキャミーが騎乗するのと同時にちゃっかりトーヤも一緒に跨った。
「何故お前も乗ってるのだ!」
「いいと言ってただろう?」
「百歩譲ってと言ったのだ! 本意ではない! 乗るなら乗るで許可を得ろ!」
「いいから急ごうぜ。早くしないと日が暮れちまうぞ」
「ぐ、き、貴様と言う奴は……」
片手をギュッと握りしめキャミーが拳をプルプル震わせた。
「もういい。適当に落ちないよう掴めるところを掴んでおけ!」
「あぁわかった」
――ムニュッ。
「ふむ。これは大きくて中々掴みやすいがちょっと柔らかいな」
「――フンッ!」
「おわっと!」
キャミーが剣を抜き振り向き様に振った。思わずトーヤが馬から飛び降りる。
「おいおいあぶねぇな」
「黙れ――もういい。貴様は今ここで殺して盗賊は私一人で片付ける!」
「へ? いや。何怒ってるんだよ」
「貴様! 乙女の胸を何だと思っているんだーーーーーー!」
こうして暫くキャミーの攻撃を避け続けることになったトーヤなのだった――
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