メタルマックス(データイースト・1991年)

 プレイ時期:1995年ごろ

 ソフト入手:親戚からもらう

 クリア状況:全ての賞金首とラスボス撃破

 おすすめ度:★★★★★


 *


 親戚から古いファミコンソフトをまとめてもらったとき、一番のおすすめだと言われたのが本作である。当時、全く聞いたこともないタイトルで友達の誰も知らなかったのだが、大いにハマることになる。


 攻略本どころか説明書すら無い状態で始めたので、まずこの世界が何なのかを冒険を進めながら解き明かしていくのが面白かった。いわゆるポストアポカリプスものなのだが、当時はそのようなジャンルすら知らなかったのを思い出す。廃墟が点在するがそれなりに平穏を取り戻し(都市ごとの自治と都市間交易が発達している感じ)、森や草原といった緑も目立つという、(後に知る)ステレオタイプなポストアポカリプスとは少し違う雰囲気も気に入った。


 このゲームでは「戦車」という存在が重要である。戦車1台につき1人ずつ乗り込むことが可能で、乗車中の戦闘では専用のパラメータが使用される。兵器や弾薬のコストは高いが人間より段違いに強く、特に耐久性が凄まじい。SP(シールドポイントで、HPのようにダメージで削られる)が0になっても、シャシー(本体)が大破するまでは耐えられる。


 当然、敵のほうもそんな戦車を前提にしているのでより強力……かと思いきや、ゲーム全体で見ればそれほど強くない。壁となるのは(文字通りの意味でも)ビックキャノンとラスボスくらいで、それ以外は装備をしっかり更新していればあっさり倒せる場合が多い。プレイヤーに対して「戦車ヤバい」を実感させるための思い切ったバランス調整だろう。


 ファミコンのRPGとしては難易度は低めで遊びやすい。煙幕弾(敵の能力を激減させる上に重ねがけ可能)とパニック弾(混乱させて逃走や自爆までさせる)という特殊砲弾がボス含めてすべての敵に効く(というか耐性フラグ入れ忘れとしか思えない)ので、これらを縛ってようやく適正なゲームバランスになる。前述のビックキャノン戦の時点ではまだ入手できないので、手段を選ばないプレイでも最強はやはりビックキャノンなのだ。


 反面、戦車が強力な分だけ、降車状態(白兵戦)の緊張感はある。特に中盤以降はメチルアマゾンという半魚人があちこちに出てきて、かなり強くならないと1~2発で倒されてしまう。一度だけ身代わりになってくれるプロテクターなど、対策手段はあるのだが。このあたりのメリハリがやや極端で、人を選びかねない要素である。


 主人公の目的はあくまでも「旅に出る」ことで、ゲーム内のセリフにおいても「この世界ではどれだけ遠くへ行ったか、どれだけ多くの人と出会ったか、 その二つが人生の値打ちを決めるのだ」という象徴的なものがある。時には悪さを働く賞金首を狩ったり、最終的には王道のラスボスも用意されているのだが、それらの戦いはあくまで目的ではなく結果に過ぎない。


 冒険のための冒険という主人公の動機は、ゲームを遊ぶプレイヤー自身の心境とも重なりあい、今までのRPGでは味わったことのない没入感があった。まして1995年という、プレイヤーの意志よりもストーリーが主導するタイプのRPGが全盛になっていく時代に本作に触れ、なおかつ非常に気に入ったというのは後のゲーマー人生に大きな影響を与えている。時系列的には、このすぐ後に初代『ポケモン』にハマることに繋がり、さらに『ウィザードリィ』に手を出すきっかけになったはずである。

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