第13話 セラの集落は、金銀の集落?

心配になって見に来たものの、特段異常はなかった。


強いて言うなら、数十件ある集落の半分が流されている程度だ。


いや、うん。


大惨事です。


 気配魔法イントク


により、魔力のない村人には感知されず、街の声を聴いて回った。


どうやら数刻前、とんでもない雷雨で建物が流されたようだ。

なんとか死者もいないようだった。


集落に魔法使いはいなかった。

魔力のない人々は、災害と思っているようで、魔法の仕業とはだれも思っていないようで安心した。


 「よかったですね」


ルツが小さな声で囁いた。


だがしかし、自分のミスで1集落を半壊させたなんて良心が許さない。


よって、


 錬金魔法 ゴールドアルケミスト


を使い金や銀を地中内で生成して、隠した。


昔も今も金銀の価値はそれなりにあるだろう、と思ってのことだった。


さて、罪悪感も薄れたところで、さっと城へ戻ろう。


3人が起きて、騒ぎになっても大変だ。


 「ルツ、帰ろう」


 「はい、この件は黙っていた方がいいですか?」

 

策士。

何かを差し出せと案に行っているな。


 「手をつないで帰ろう」

 

 「す…すい、すいません」


自分から振っておいてその反応かい。


ルツの意外な反応に新鮮さを覚えた。


ルツの手は柔らかくて暖かかった。


 「よし、自慢しよう」


自慢したら、このことがばれちゃうよ。

と指摘して、顔を赤くするルツが容易に想像できた。


うん、いいな――。


そうして、早朝に二人。


手を繋ぎながら城へ戻った。


のちに、この地に埋められた金銀は、発掘の町となり発展することとなる。


なぜそんな大量に金銀が精製されたのかって?


おそらく大規模魔法の後に行使したせいだろう。

力加減がおかしくなっていた。


これを反省する日はしばらく先となる。



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