走る練習

〜♪

「んー......もしもしー」


スマホから着信音が鳴って目が覚める。発信元は...佐伯さんだ。どうしたのかなぁ。


「もしもし、中西さん。もしかして忘れてますか?」

「んー.....え!?......あ」

「そうですよ。今日はリレーのトレーニングする予定でしたよね。予定は9時からでしたが今は何時でしょうかね」

「10時30分です...」

「その通りです」


やってしまった。着信履歴を見ると5件も不在着信がきてる。で、でも言い訳すると、昨日の姫宮さんのせいで眠れなかったんだもん。8:2くらいで私悪いんだけどね...


「ご、ごめんなさい。今から行くからもう少しだけ待っててください」

「怒ってないので焦らず身支度してから来てください」


急いで出発する支度をする。ちなみに由良は休日だからまだ寝ている。とりあえず由良の朝ごはん兼お昼ごはんを作り置きして、私は運動するから少しだけお腹を満たして出発だ。



「ご、ごめんなさい!」

「やっと来ましたね。事故がなくて良かったです」

「おはよー中西さん!」

「あれ、山崎さんもいるの?」

「言い忘れてました。茜は本来来る予定じゃなかったんですけど、たまたま出会ってそのまま成り行きで...」

「ふふん、中西さんを助けるためって聞いてね。いてもたってもいられなかったってこと!」


遅刻したのに許してくれて更に身を案じてくれるなんて...私の周りには優しい人しかいないのか。しかもリレーに出る山崎さんと合わせれるのも普通にラッキーだし。そ


「じゃ、じゃあ今日は何するの?」

「フルマラソ「ウォーミングアップしてその後に走ります」」


山崎さんの言葉を遮るように佐伯さんが言葉を被せる。言いかけた言葉は何となく予想出来るが、流石に初心者がやることじゃないだろう...なんならそれなりに走れる人でも不可能だぞ...


「茜は黙っててください。あなたが今日することはほとんどありませんので」

「なんでそんな事言うの!私も中西さんのお手伝いしたい!」

「あなたは元々今日の予定無かったでしょう。そもそも私が今日の予定を建ててるので変えれませんし、初心者にフルマラソンは不可能です。では中西さん、まずは怪我防止のためにウォーミングアップからです」


ということで、ウォーミングアップから始まる。ウォーミングアップは1周1kmあるこの公園を半周までは歩き、残りはジョギングするらしい。私と佐伯さんが歩き始めると山崎さんは走って私たちの進行方向へと消えてった。元気だなー。


「中西さんの手伝いに来たかと思ったら、1人で走る...これは後から説教ですね」

「そ、そういえば佐伯さんって山崎さんと朝出会ったって言ってたけど、家近いんですか?」


少し怖かったから話題を逸らした。ビビった訳じゃないから!少しだけだもん!


「そこまでですよ。家自体は近くないんですけど、私の家の前が茜のランニングコースになってるからよく合うんですよね」

「へー、やっぱり陸上部はプライベートでも練習きちんとしてるんだ」

「してる人は多いですけど、茜の場合は...体動かさなきゃ爆発するタイプなんですかね。初等部の頃からずっと走りまくってたので多分そうです」

「そっか、北坂ってエスカレーター式だから昔からみんな一緒なのかぁ。しかもその頃から体力おばけだったの...」


10分ほど歩いて半分に差し掛かったあたりで、後ろから声が聞こえたから振り返ると山崎さんが私たちを抜かしていく。


「えぇ...」

「連れがはしゃいですみません...」


すごいなぁ...私達もランニングに切り替えて山崎さんを追うが、差が縮まらないままウォーミングアップが終わった。正直ウォーミングアップで体力の8割は失ったことは内緒だ。佐伯さんが山崎さんに説教してるうちに息を整え、指示を待つ。


「花蓮ちゃん、そろそろ中西さんの指導した方がいいかなぁって思ったり...」

「それもそうね、説教は後回しかな」


あ、説教から逃げた。まぁ、少しは休めたからいいか。


「中西さん、昨日練習したことをイメージしながら今日は走りましょうか。合図したらそのラインからあそこにひいたラインまで走ってくださいね。ちょうど50mなので」

「はい!」


確か...腕を大きく降ってバネみたいに跳ねさせる...だよね?前は少し上手くいったけど、正直同年代の平均にすら届いてないから結局まだまだなんだよね。うちの県の平均タイムが8.7とかだからせめて9秒台に乗りたい...


「いきますよ、よーいドン」


腕を振り、足をバネのように弾ませる...やばい。頭と体が連動しない...一応ゴールするが結果は悪そうだ。


「11.2秒ですね...どうしたんですか、昨日より1秒も下がってますが」

「面目ない...なんか頭では腕の振りとか考えてるのに、いざ走ると体が追いつかなくて結局足を動かすことしか考えれなくなっちゃう...」


多分運動音痴あるあるだと思う。二つのことを考えれないし処理出来ないのだ。私の場合、足を動かす動作と腕を大きく振る動作と足をバネのように弾ませることを考えた瞬間、何が何だか分からなくなるのだ。


「うーん...もう少し走って無理そうだったらまた考えましょうか」


結局山崎さんにも手伝ってもらったが、10秒台に乗ることは無かった。今はただ申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「だ、大丈夫ですよ。次やる日学校で決めて頑張りましょう」

「そうだよ中西さん、千里の道も一歩からってやつ!」

「ほんとにごめんなさい...次は絶対もっと早くなるからよろしくお願いします!」





あとがき

最後までお読み下さりありがとうございます。特に言うことないので、頑張って続き書くので応援お願いします!感想とかちゃんと読んでます!ありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る