16話


「「「......」」」


どうしよう。すごい気まずい。姫宮さんからは告白されるし、由良には告白されたことがバレて不機嫌だしどうすればいいの...そ、そうだ。せっかくだし由良交えて3人でお話しようかな。


「姫宮さ...」

「おねぇちゃん、今日の夜ごはんなにー?」

「......作る時間ないからコンビニでなんか買おっか。で、姫み...」

「おねぇちゃん、今日は一緒にねようね!」

「............うん」


喋らせてすらくれない。由良のご機嫌取りと姫宮さん、そして天音さんへの告白の返事、体育大会の練習、やることが多すぎて頭がこんがらがっちゃいそう...


「お嬢様方、中西様の家に着きましたよ」


よ、良かった。ひとまずこの空気からは解放されるようだ。


「じゃ、じゃあ姫宮さん、また土日明けたら会おうね!バイバイ!」

「もう知らない人はこないでください」

「うん、すーちゃんまたね〜。ゆらちゃんもまた来るから楽しみにしててね〜」


わぁ、図太い。私だったらあんなこと言えないよ。姫宮さんと別れて車から降りようとすると、耳元で姫宮さんが囁いてきた。


「結構本気だから真剣に考えてね、あとあーちゃんの返事と同じタイミングでいいよ」


それ、「天音さんからの告白の返事難しいなら〜」とかいう前提無くなってないか...?





さてと、どうしようかな。観念して後ろに目を向けると、仁王立ちをした愛しの妹が立っている。


「おねぇちゃん、どういうこと?」

「......ど、どういうこととは...?」

「ゆらのことバカにしてる?何言いたいかわかってるよね?」

「いえいえ、バカにしているつもりは滅相ももないです。」

「じゃあせつめいしてね」


どうにかして逃げようとしたけど無理でした。ただでさえ天音さんの件で気がたってるのに、そこに姫宮さんという油を投入したらそりゃこうなりますよねぇ......逃げたい。


「お姉ちゃんもよく分からないんだけど...ほんとによく分からないからね」

「前置きはいいから続けて」

「はい......仲良くなったと思ったら、いつの間にか天音さんの悩みを解決しちゃって...そのままズルズルいったら告白されて、それを知った姫宮さんからも告白されちゃって...」

「なんでか聞いてるんですけど」

「お姉ちゃんも分からないの。しかも女の子同士って...」


ほんとに分からないし由良怖いから涙出てきそう。なんで私悪くないのに...


「で、どうするの」

「ど、どうする...とは」

「だーかーらー、告白の返事!莉紗ちゃんが言ってたもん!告白ってことは好きだからするんだから女の子同士でも関係ないって!」


莉紗ちゃんが誰か分からないけど、何を言っているんだ...?女の子同士って...確かに私は男の子は怖いから無理だけど、だからって同性が好きなわけじゃない。断言しよう。私は別に性的な目で同性を見たことないし、同じく男を見たことは無い。これからもするつもりはないだろう。


「い、一旦落ち着いて由良。と、とりあえずご飯作らなきゃ明日のお弁当も間に合わないし、由良がお腹すきっぱなのお姉ちゃん悲しいしやだなぁ...」

「ん...仕方ないからご飯作るのは許す。だけどその後はわかってるよね?」

「う、うん。じゃあ先お風呂入ってね」


よし。由良を一旦落ち着かせたから時間を稼げる。とりあえずはご飯作ってから考えよう。未来のことは未来の私に任せろって言うもんね。ファイト、未来の私。

さてと、未来の私にバトンを託し、私は夕飯でも作りますか。んー、パッと目に着いたのが春キャベツと卵だからキャベツメインで作ろっかな。


まず、キャベツは適当な長さで千切りにして、ハムは細切りにする。次に卵をボールで溶いてその中に塩・胡椒、粉チーズとキャベツとハムを入れてよく混ぜる。フライパンに卵液を入れていい感じに焼いたら...春キャベツの卵焼きの完成!ご飯は時間が無いからレトルトで代用して...味噌汁は出汁作り置きしてあるから作ろっかな。

味噌はおばあちゃんから送られてきた「おわら風の盆味噌」を使う。この味噌は後味がいいし、匂いもいいからお味噌汁にぴったり。まぁ、味噌汁の作り方は説明する程でもないからいいか。ちなみに、出汁は煮干し出汁(水出し)で、具材は春キャベツと油揚げとワカメだ。やっぱり味噌汁と言えば油揚げとワカメだよね。


「あがったよー」


ご飯が出来たタイミングでちょうど由良が風呂からあがったようだ。さて、過去の私に託された未来の私、頑張るぞ。


「おねぇちゃん、ご飯なにー?」


あれ?何も言ってこない。


「おねぇちゃん?」

「ゆ、ゆら。今日は味噌汁とご飯と春キャベツの卵焼きね。あとハム余ったからそれも食べていいよ」

「わーい!」


あれ......あれれ。身構えてた私、滑稽過ぎて笑えるんだけど。いや、まだ罠の可能性もある。とりあえずご飯終わって寝るまでは警戒を解かないようにしよう。


「おねぇちゃん、おやすみ〜」

「うん、おやすみ...」


......お姉ちゃん心配だよ。流石に忘れるの早くないか。まぁラッキーだと思って私も寝よ。






あとがき

最後までお読み下さりありがとうございます。タイトル思い浮かばなかったので許してください...有難いことにいいねやブックマークなど沢山の応援貰えて嬉しいです。頑張ります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る