第3話僕の嫁さん

出会いは居酒屋だった。御用達のいつもの居酒屋にアルバイトで女の子が働き出した。

かわいい女の子だった。

僕は飲めば面白い男なので、バイトちゃんは笑っていた。

当時は、LINEなんてないからオテモトの袋にお互いのメールアドレスを書いて交換した。

後々、そのオテモトは彼女も大切に保管していたので、アルバムに挟んである。二人のきっかけのオテモト袋2枚を。

話しを聴けば、夕方まで会社員として働き、出会いを求めて夜だけ、この居酒屋でアルバイトしているらしい。

何回か1人で居酒屋に行くと、彼女は、まかないを僕の隣の席で食べるようになった。

間もなくして、僕らは付き合い始めた。

ドライブに行ったり、食事したり、映画見たり。

あっ、言っておくが静岡の恋人岬は将来結婚を前提のカップルは行く事をおすすめします。付き合って2年後に僕らは結婚しましたから。


彼女は僕より5歳歳下だが、しっかりした女性だった。付き合い始めて1年後うつ病になった。

僕は別れようと言ったが、彼女は一緒に乗り越えようと言って逆に励まされた。

この女の子を幸せにしたい。

28で知り合い、30で結婚した。

知り合った時は23歳だった彼女は25歳で1児のママになった。

頑張ってこの家族の為に働こうとした矢先、統合失調症を発症させた。

いよいよ、仕事を失くし家計が苦しくなると、僕の貯金はもちろんの事、嫁さんの貯金も少し使い始めた。

それで、障がい者年金の存在を調べ上げて、少し生活が楽になった。

また、訓練の為に(一般就労する訓練)福祉作業所で働くと、随分楽になり銀行に借金しないで済んだ。だけど、裕福ではない。

ギリギリ生活に困らない程度なのである。

結婚してから、ずっと嫁さんに迷惑かけている。早く転職して、嫁さんを楽させたい。

年金日に焼き肉をする事だけが、唯一の家族の楽しみ。

今は、母親を見ているので別居しているが、偶数月の焼き肉と現金を渡す時に会うので、ここ10年ケンカはしたことが無い。

僕を見捨てなかった家族笑顔を見るために仕事を頑張りたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハヅル氏の歴史 羽弦トリス @September-0919

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ