第10話 自己紹介1年生の部①

ついに僕たち1年生が自己紹介する番が回ってきた。と思ったらここで1回10分間のトイレ休憩だそうだ。

その間に順番を決めておくように言われた。後、先輩への質問も自己紹介の時にするらしい。


「ねえ、誰からにする?」

「どうしよう。」

「1番手行きたい人いる?」

「……。」


誰一人として手を挙げなかった。しばらくすると佐藤君が右手を挙げて


「それじゃあ、僕が1番でする。」


と言ってくれた。その後佐藤君まとめ役をしてくれたおかげで時間に余裕をもって順番を決めることができた。


「さて、時間になったし始めようか!」


監督は全員が席に着いていることを確認すると声をかけた。その声に従い佐藤君が前に出てきた。


「佐藤勇矢です。

趣味は釣りです。

目標は5000mを15分台で走ることです。

質問は……沢井先輩に質問です。

先輩は抜いてください。と言いましたがどうやったら抜けますか?」


佐藤君が質問すると監督が沢井先輩を見て


「壮真、その場で立って答えて!」


といった。沢井先輩はうなずくと立ち上がって


「壊れなかったら。」


と一言いうと席に着いた。1年生組は沢井先輩の回答に納得できていないようだったが、先輩たちと顧問の先生たちは非常に納得していた。


「壮真、佐藤はどうやらその回答に納得していないみたいやで、もう少し説明しなさい!」


監督は1年生のポカンとした顔を見て沢井先輩に言った。すると沢井先輩は再び立ち上がって


「壊れたら、壊れやすくなる。壊れたら、練習できなくなる。壊れたら、焦って壊れる。だから、壊れたらだめ。」


というと非常に満足そうな顔で座った。1年生は首を傾げている子と頷いている子の2パターンに分かれたが監督はそれ以上沢井先輩に何か言うことなく


「次にいこうか。」


と言った。


「佐野勇太です。

趣味はゲームの実況観戦です。

目標は佐藤君と同じで5000mを15分台で走ることです。

質問は、自主練はどのぐらいしますか?」


佐野君が質問すると監督はしばらく考えて、


「大森、代表で答えろ!」


と言った。大森部長は返事をすると立ち上がって頭を掻きながら


「僕は毎日練習プラスαで走ったり、筋トレしたり、ストレッチしたりしているけど、別にまったく自主練はしていない奴もいるし、逆にめっちゃ自主練している奴もいるよ。ただ、自主練を全くしていないから遅いのかと言われたらそうでもないしなぁ~何なら早いし、逆に自主練をしている奴が強いのかと言われたらそれもまた違うんだよなぁ~。だから、ほどほどにしておくほうがいいよ。」


と言った。


「ありがとうございます。」


佐藤君はにこやかな顔でお礼を言った。それを確認すると監督もうなずいて


「はい、次!」


と言った。

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先輩はバケモノ カエル @azumahikigaeru

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