③ 松明
「あ、あ……っ!」
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁっぁぁ」
絶叫は川村。
それに驚いて渡辺が懐中電灯を落とした。
「ヤバい走れっ!」
人影とは反対、境内に向かってオレ達は走り出す。
「縺雁燕縺ョ霄ォ菴薙r繧医%縺」
距離を取ると、奴の声はまたおかしくなった。でも今は考えている暇などない。
「な、なんだよあれ⁉︎」
「言ったろ出るって!」
「いいからお前ら早く前はしっ──」
石畳に躓き、前へ転ぶ。
「いでッ……スマホが!」
倒れた衝撃か、スマホの画面は暗くライトも切れた。背後には変わらず人影が寄っている。
前を見ると2人はもういない。
ヤバい……置いて行かれた。
「くそっ」
参道は長くないはずなのに石畳はずっと続く。真っ暗闇の中、地面を蹴る感覚だけが走っていると思わせる。
ポケットに突っ込んでいた小型の懐中電灯を取り出してスイッチを押しても反応はない。
「はぁ、はぁ……なん、で! なんで点かないんだよ⁉︎」
「縺雁燕縺ョ霄ォ菴薙r繧医%縺」
電池は新しいのを入れた、来る途中でもちゃんと点いた! なのになんで⁉︎
「縺雁燕縺ョ霄ォ菴薙r繧医%縺」
暗闇にうっすらと浮かぶ人影。
ウネウネと動く輪郭は、ぐにゃぐにゃと揺れ続けながらオレを追う。
『やめといた方がいいよ』
こんなことなら
「あグっ!!」
ひたすら駆けた先、再び石畳に足を掬われる。2、3度地面を転がった先は、境内の前。
「渡辺! 川村ぁっ!」
返事はない。
「縺雁燕縺ョ霄ォ菴薙r繧医%縺」
振り返る。
黒い人影は追い込んだことを喜ぶように、いっそうクネクネと揺れ蠢く。
「な、なんなんだよお前はっ!」
「オマエノカラダヲヨコセ!!」
影の左右が伸び、触手代わりにこちらへ襲いかかる!
「く、来るなっ」
捕まる──!
思わず目を閉じたその時、
頭の上を、熱を持った何かが飛んでいった。
「辭ア縺?シ」
奇声とも言うべき音と一緒に人影が激しく揺れる。その足元? には火のついた木が転がっていた。
「だからやめといた方がいいっていったでしょ?」
「……へ?」
賽銭箱の奥、社にはオレンジの光。
温かい光に照らされる人影は、長い髪を揺らしながら境内へ現れた。
「出るって分かってて来るのは馬鹿じゃない? こんな闇の濃いところじゃ懐中電灯なんて無駄だよ?」
「縺ェ繧薙□縺雁燕縺ッ」
闇夜に溶け込む黒い長髪を靡かせながら、彼女は掛けていた眼鏡をこちらへ投げ捨てる。
「黒森くん、それ持っててくれる?」
「松明さん……なんだよな?」
蠢く影に相対すは
「なんで……ここに?」
「バイト、邪魔しないでね」
もう意味がわからない。
だが……彼女の握る松明は、とても頼もしく見えた。
松明さんは火を掲げて黒い影に叫ぶ。
「原始の炎よ、闇を照らせ!
名乗り終えた直後、
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