第5話 ⌘【結婚】⌘

 いよいよ姫と王子の結婚式が明日になりました。


 満月が煌々とし、川面を一層キラキラと輝かせています。


 姫は大勢の人に見送られ、川を渡る舟に乗り込みます。

 姫はマンクスに手を差し出し、

「おいで。」

と言いました。


 でもマンクスは頭を振って、

「いいえ、ここでお別れです。姫の旅立ちと共に、私も月へ帰ります。」

 

 姫は突然の申し出に、嫌だ!と言って泣きますが、マンクスは頑なに動きません。

 そして舟が出る時間となりました。


「姫のことはずっと月から見守っていますよー…。」

 マンクスは舟が出航すると同時に、キラキラとした光の帯を纏うように月へ向かって昇って行きます。


 次の日、姫と王子の結婚はつつがなく行われ、皆から盛大な歓迎を受けました。


 それから毎晩、姫は月を見上げます。


 「ああマンクス、今日も元気に餅をついているのね。」

 

『ここはらは、姫の姿がよく見える。それに餅をつくのに忙しくて、寂しくなんてないですよ。』

 そんな声が聞こえてくるようですー


⌘ おしまい ⌘

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月を隠したのは ニ光 美徳 @minori_tmaf

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