譲歩
牧口和泉、今年27の歳。5年付き合ってる彼が居る。名前は宇高優。セックスはここ2年一度もしていない。私は付き合った当初から結婚を考えている。現に今向かっている恵坂の会社で彼とは出会ったが、その後は転勤を繰り返していて会社も場所を移った。彼はそこで浮気をしている。私達が同棲をしているあずまのマンションには、多すぎる程の証拠がご丁寧に残されていた。そんな女を選ぶあたり、女の趣味は変わっていないのだなあと思う。優くんは昔からタチが悪くてちょっぴり罪な女が好きだったりしたのだ。私はこの年になってもまだ、付き合っている月日よりも片想いをした月日の方が長いから優くんに関しては詳しい自信があった。そんな彼が私によく言う台詞は
「可哀想。」
愛情でもなんでも無いただの同情だと気づいていたけれど利用できるなら私は何でも良かった。優くんが好きだ。マミちゃんよりもアキちゃんよりもフミちゃんよりもココネちゃんよりも。私は彼を愛していた。スペックだって私が一番高かったはずだ。
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