月の少年 星の少年《第2話》
「ほらぁ、君が怒っているから星々がざわめいているじゃないか」
月の少年が、お陰さまでさぁ~うるさいよ、と遠回しに言う。
彼の言葉の通り、天井に浮かぶ星々の輝きが一定でなくなり、時折点滅しているのはそのせいなのだろうか。
「………」
その言葉に機嫌を損ねたのだろうか、星の少年は、月の少年に『無言』という沈黙で返答する。
天井の星々も、それに共鳴するかのように先程のざわめきは無かったかのように、しんと静まり返っている。
「意固地になっちゃって~、またまた~」
どうせ、直ぐに折れるんだろ?と月の少年は続けるが‥‥‥‥。
「…………」
もう、付き合ってられない、と星の少年は部屋から出ていくという最終手段を使うために、水晶の部屋のドアノブに手を掛けた。
「え?嘘、冗談だって~、話をしてやるから機嫌を直してよぉ~」
やっと自分がかなりの失言を繰り返していることに気がついた月の少年は、慌てて平謝りをする。
「……お前に聞く価値がある話など無いと見た」
月の少年の平謝りが逆鱗に触れたのだろう、星の少年は完全にキレた様子だ。
またも、天井の星々は、彼と同調するかのように点滅を繰り返す。
「………はぁ」
なにかを諦めたのだろうか、月の少年は椅子から降りて、その場に正座をする。
そして‥‥‥‥‥‥‥‥。
「申し訳ございませんでしたぁ!」
頭を下げたのだ。いわゆる、土下座というものだ。
「?!」
星の少年にとって、月の少年の土下座は予想外の行動だったのだろう。
天井の、星々も彼に同調し、一瞬輝きが強まった。
「頭を上げろ!俺たち神がたとえ神に対しても頭は下げてはいけないはずだぞ!」
慌てて、月の少年に頭を上げさせようとするが‥‥‥‥‥。
「僕の話を聞いてくれるまで、上げない」
と言うではないか。
「わかった。聞くから頭を上げてくれ」
彼の怒りという感情はどこへ行ってしまったのだろうか、諦めたように月の少年を許す。
「じゃあ、面白い話だね」
「あぁ」
月の少年は、気を取り直して立ち上がり、まずは天井を見て!と星の少年に言った。
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