第四話 生成魔法
目が覚めると様々な違和感に気づいた。そしてそれらの違和感が、昨日の出来事が夢ではなかったことを思い出させる。
ベッドから身体を起こし立ち上がる。自分の姿が鏡に映っている、服装はこの世界に来た学ランのままだ。どうやら僕が思っていたよりも僕は疲れていたらしい。部屋を見渡すと、ベッド脇の棚?に服が2セット置いてある。パジャマと普通の着替えのようだ。
取り敢えず普通の着替えらしき方を着てみる。なんだこれどうなってるんだ?……
結局着替えに1時間もかかってしまった。大体は同じだったが細かい部分が、かなり難しかった。有り体に言えばこれがあっているのかも分からない。来ていた制服は
さて、取り敢えず部屋から出よう。とドアを開けるとそこに、今来ている服と同じような服を持ったパーラーさんが居た。
「あ、おはようございます、早いですね」
早い、という言葉に疑問を覚え、窓の外を見るとまだ薄暗い。成程道理で、
「えっと、これからどうします?」
「次の予定って何時なんですか?」
「えっと確か次の予定は三時間後に朝食です」
「なら良ければ魔法教えてくれませんか?」
「ええ構いませんよ」
◆◆◆◆
場所は魔法を練習する体育館のような建物、どうやら魔法修練場という結構安直な名前だったりする。パーラーさんは本を取ってくると、図書室に行っている。
「すみません、お待たせしましたー」
パーラーさんはかなりの量の本を持っており、メイドって思ったより筋力あるんだな、と思ったほどに。
「どうしたんですその本?」
「あ、これはもう私が教えられることが少ないので、多めに持ってきたんです」
「えっ」
僕はもう教えられることが少ないという台詞に驚愕し困惑した、僕は知らず知らずのうちに魔法の師だと思い込んでいたのだ。
「あと私が教えられるのは生成魔法くらいですので……」
そしてパーラーさんはそれを教えてくれた、卒業式で泣いたことは無かったがこの時ばかりは空を仰いだ。
生成魔法は物体を魔力を使って作り出す技術で、厳密には魔法とは違い、通常の魔法であれば、魔法陣だとかの術式や詠唱が必要だが、生成魔法は術式や詠唱だとかを必要としないらしい。
「生成魔法には理解することが大切なんです、だから難易度が高く、魔法学園の入学試験のひとつになっているんですよ、取り敢えず先ずは水から始めてみましょう」
「分かりました!」
理解……ということは分子構造だとかだろうか、H2O,H2Oっと……
前に構えた手から水がチョロチョロと流れ出す。なんだろうもっと勢いよく出るものかと思っていた。
「消費魔力量を上げればもっと勢いよく出ると思いますよ」
僕の考えを察知したようにパーラーさんがアドバイスする。この世界のメイドは読心術も使えるらしい。
それはともかく言われた通りに消費魔力量を上げる、少し手こずったが少し慣れてきた。
すると先程まで小さめの湧水くらいだったのがようやく大きめの湧水ぐらいになった。
然し水道のように安定した水流を出すことはできない。どれだけやっても嘲笑うように水は跳ねるように不規則に出続ける。
「凄いですね!たった一日でここまで出来るなんて前代未聞ですよ!」
そりゃ、向こうの世界で妄想しまくってたものですから……
「パーラーさん水を安定して出すのってどうすればいいんですか?」
パーラーさんに質問する。
「さぁ……私もそこまではちょっと……魔術職ではありませんので……」
そうだったパーラーさんは一介のメイドさんなのだ。そして水を安定して出すことを諦め一度水を出すのを止める。
「じゃあ次は……」
と言いかけたところでセリフを止めた、この水どうしよう。床に何も敷いたりせずに出したものだから、床が水浸しになっている。どうにか
すると床一面に広がっていた水がパッと消えてしまった。もしやと思い、
すると中には水の球が無重力空間に投げ出されたように浮かんでいる。
どうやら
「凄いですね、そんなことも出来るなんて便利ですね!」
はしゃぐパーラーさんを横目にパーラーさんが持ってきた山積みの本に触れてみる。予想通り本は消え、
どういう事だ?さっき水を収納した時は何も無かったはずだが、何が関係しているのだろうか…………いや、今はそのことより生成魔法の方が先だ、検証は後でいい。
さて、今度は固体の生成をやるらしい。先ずは何かやって見てほしいと言われたので、取り敢えず鉄を出してみることに決めた……が、全然上手くいかない。
「鉄はかなり難しい方ですのでもし良ければ銅にしてみませんか?」
その助言に従いどうの生成を試みる。
CuCuCuっと……
すると先程より簡単に掌に銅の一辺二センチ程のブロックが生成される。
そこから様々な物質を生成した、水素、ヘリウム、炭素、窒素、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム、アルミ、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、途中魔力が枯渇したのでポーションで間に合わせた。
どうやら物の種類によって、生成の難易度が変わるらしい、本に書いてある。
そこから様々な岩石や液体を生成した、中にはガソリンもあった。
◆◆◆◆
「さて、もう朝食のお時間ですので、参りましょう」
生成魔法でかなり遊んだ後パーラーさんが言った。
「あ、はい分かりました」
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