第4話二人目の関係者
七瀬に手を引かれて教室を抜けると廊下で佳代とすれ違う。
佳代は素知らぬ顔で僕らのことをスルーする。
僕も彼女に合わせて関係ないふりをすると廊下を駆け抜けた。
そのまま校門を抜けて帰路に就く。
歩いて数分の場所にある僕らのマンションへと帰宅すると七瀬を家の中に招いた。
「お邪魔しま〜す」
「誰もいないから言わなくて良いよ」
「そうなの?じゃあ今はふたりきり?」
「変な言い方するなよ…」
「ドキッとした?」
「しないから」
適当な会話を繰り返すとリビングに七瀬を招く。
「ソファにでも座ってて。着替えてくる」
七瀬はそれに頷いてソファに腰掛けた。
自室に戻りハンガーに制服をかけると部屋着に着替えた。
脱衣所の洗濯機にシャツを放り込むとリビングに戻る。
「何飲む?」
「なんでも良いからジュース」
「あるかな…」
冷蔵庫を開けると偶然にもリンゴジュースが入っており、それをコップに注いで持っていく。
「どうぞ。何する?」
「ありがとう。ゲーム?」
コップを受け取った七瀬は端的な提案をしてコップの中身を口にした。
「ゲームか…何が良いかな…」
リビングのテレビ台の棚にゲームソフトが並んでおり僕はそれを確認していた。
「待って。私が選びたい」
「良いけど」
許可すると七瀬はコップをテーブルの上に置いてソフトを確認していた。
「ちなみにだけど。負けた方は罰ゲームだよ」
「聞いてないんだけど…」
「今始めて言ったからね」
七瀬に軽く呆れていると彼女は満面の笑みを浮かべて一つのソフトを手にする。
「これにする。絶対勝てる自信あるから」
「セコいな…」
「勝てる勝負だけするのが必勝法なのだよ」
「なんだそれ…じゃあ早速やろうか」
ソフトをセットすると僕らはゲームに集中していく。
絶対に勝てると自信満々なだけあり僕は苦戦を強いられる。
結局、負けてしまい七瀬が要求してくる罰ゲームを受ける羽目になってしまう。
「それで。罰ゲームの内容は?軽いものにしてくれよ?」
「ん。じゃあ目を閉じて?」
「何で…?」
「良いから」
「怖いことするなよ?」
「しないから」
七瀬に言われた通り目を閉じると無音の空間が酷く心地よく感じた。
彼女の吐息が鼻に触れて少しくすぐったかった。
「なにしようと…」
目を開きかけたところで七瀬は僕にキスをしていた。
「まっ…」
どうにか離れようとするが七瀬は僕を抱きしめて離さない。
口を塞ぐようにキスを繰り返す七瀬はそのままの流れで行為を始めていく。
七瀬が馬乗りになって服を脱いだところから僕は抵抗するのを諦めた。
そしてそのまま七瀬と最後までいってしまうのであった。
行為が終わると七瀬は服を着替えながら僕に問いかける。
「佳代ちゃんと何かあったでしょ?」
核心を突くような質問に上手く言葉が出ずにいると七瀬は軽く微笑む。
「想像通りだと思うけど。まだ付き合ってはいないんだよね?」
それに頷いて応えると七瀬は着替えを済ませてソファに腰掛けた。
テーブルの上のコップを手に取るとそのまま口に運ぶ。
中身を飲み干した七瀬は鋭い視線で僕を射抜く。
「私だって負けないからね」
どういう意味だったのかは理解できないが七瀬はそれだけ言い残すと玄関へと歩き出す。
「じゃあまた明日ね」
七瀬は僕の家を出ていき一人残された自室で頭を悩ませる。
(どうなってんだ…友達じゃないのかよ…)
そんな思考が頭を覆い尽くしていた。
しばらくベッドで悶々としているとスマホが震える。
「七瀬ちゃんと一緒に居た?」
佳代からメッセージが届いて胸がドキリと跳ねる。
「うん」
簡潔な返事をすると佳代は何でも無いように返事を寄越す。
「付き合っているわけじゃないから束縛はしないけど。色々気を付けなね?」
「………了解です」
そこでメッセージのやり取りは終わり、両親が帰ってくるまでベッドで休んでいるのであった。
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