第3話女子友達?

佳代と関係を持ってから数日が経過していた。

クラスで仁吾が少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべている。

「仁吾。どうした?機嫌悪い?」

取り巻きのクラスメートが仁吾に問いかけると彼は首を傾げて応えた。

「何か佳代の様子が変なんだよ…」

「何が変なんだ?」

「いつもより優しいんだよな…こんなこと今まで無かったから」

「優しいなら良いじゃん。何が問題なんだよ」

「いやぁ…なんかおかしい気がするんだよな…まぁ良いけど」

仁吾は話を切り上げると取り巻きと別の話題で盛り上がっていた。

そこにクラスメートの女子がやってきて仁吾に話しかける。

「佳代と最近上手くいってるみたいだね。仲のいいカップルで羨ましいな〜」

「ん?まぁな…」

仁吾は言葉に詰まると話を濁してそっぽを向いた。

「あれ?仲良しなのに不満なの?それじゃあ佳代が可哀想だよ」

「分かったから…あっち行け」

仁吾は再び不機嫌そうな表情を浮かべると女子生徒を払うような仕草を取った。

「折角褒めたのに…なんなの…」

女子生徒は小言を言いながら友達の輪の中に戻っていく。

僕は少しだけヒヤヒヤした思いに駆られながらどうにか無表情を決め込む。

スマホをいじって時間が経過するのを待っていると不意に声を掛けられて顔を上げた。

「おい。お前…佳代と幼馴染なんだよな?なんか聞いてないか?」

仁吾は僕の目の前にやってきており不機嫌そうな表情を崩さずに尋ねてくる。

「いや、最近は話もしてないよ」

平気な顔をして嘘を吐くと仁吾は舌打ちをして自席へと戻っていく。

心拍数が少しだけ早くなっていたが表情を変えなかったことにより嘘はバレなかったようだ。

そもそも仁吾は佳代の住んでいる場所を知っているのだろうか。

知らない可能性もある。

もしも佳代の家に来ていたのであれば僕と遭遇していてもおかしくない。

深く呼吸をして気持ちを整えると予鈴が鳴るのを待つのであった。


なんでも無い学校生活が終わり、カバンを持って席を立つ。

「おーい。鴇。一緒に帰ろ〜」

友人である白樺七瀬しらかばななせが話しかけてきて僕は微笑みを返す。

「バイトは?」

「ん?辞めた」

平気な顔をして言葉を口にしているが彼女がバイトをしていたのは、たったの数日間だけだった。

「何で?あんだけ息巻いてバイトするって言ってたじゃん…」

呆れたように口を開くと七瀬はやれやれとでも言うようなジェスチャーを取った。

「バイト先にキモイ奴がいて。しつこくされたから辞めた」

「ふ〜ん。七瀬モテるもんな。次のバイト先は?決めたの?」

「ん?しばらくバイトは良いかな。やってみて思ったけど鴇と居るほうが楽しいし」

「バイトに楽しさなんて求めるなよ…」

「折角やるなら楽しい方が良いじゃん」

「まぁ良いけど。何処行く?」

七瀬に問いかけると彼女は頭を悩ませるように右上を眺めると数秒間唸っていた。

「鴇の家?」

「は?来たこと無いだろ…変なこと突然ぶっこむなよ」

「いいじゃん。私達の仲でしょ?」

「変な勘違いされるぞ」

「されてもいいけど?」

「………」

そこで言葉に詰まり困っている僕を他所に七瀬は手を差し伸べてくる。

「行こ?」

それにどうにか頷いて応えると流れで僕の家に行くことが決定するのであった。

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