第8話 ヤンキー(その後)

正がやっと廃工場から出て行ってくれた。


「ふぅ〜、やっと気にせず暴れられる。」


俺は肩を回しながら呟く。


「さっさと終わらせて、ラーメン喰いに行こうぜ!」


緊張感のない悟の声が返ってくると、俺たちのやり取りに男がキレる。


「おいおい、調子にのるなよ!!

お前らもさっきのボケみたいに殴ってや

‥。」


ムカついたのでとりあえず顔面に蹴りを入れる。


蹴られた男は数メートル吹っ飛ぶ。


「ヒィッ!」


この場にいた男の仲間達が悲鳴をあげる。


男は歯が数本折れ、口と鼻から大量の血を流していた。


多分謝っていると思うが傷の影響か、何を伝えたいのかわからない。


「あのさぁ。

俺の弟に何、手を出してんの?

殴るとかありえないから。

謝っても許さんからな!」


俺が睨みつけると男は意識を失う。


男がやられるのを見て他の仲間がこの場から逃げようとしている。


もちろん悟はそれを許さない。


「ストップ。

ダメだよ、仲間を見捨てたりしたら。」


女達は震えている。


「ごめん、最初に謝っとくね。

俺も正が殴られてムカついてるんだよ。

まぁ、正の兄貴ほど怒ってはないけど。」


悟が女達にゆっくりと近づく。


「ごめんなさい。許して‥。」


全員が泣きながら謝ってくる。


「だから、ムリ。

あっ、大丈夫だかね。

絶対に殴ったりしないから。

傷なんか1ミリもつけないよ。

まぁ、精神的には傷つく事になると思うけど‥。」


悟が何をしたのかわからないが、全員失禁するほど恐怖したらしい。


その後、彼らを街中で見かける事は無くなった。


部屋に引きこもったとか、引っ越したとか‥。

まぁ、どうでもいいけど。



*    *    *    *


「どういうこと?」


俺と正は家に帰ると速攻で姉貴に正座させられる。

正の怪我を見て姉貴がキレたのだ。


何でバレるかなぁ。

助けた子に借りてファンデーションとかで隠したはずなのに‥。

正の事になるとマジで怖い。


とりあえず姉貴に一発殴られる。

正を守らなかった罰であった。

悟も同罪という事で後日殴るらしい。


ちなみに進藤悟はその界隈では有名な男である。今は引退したらしいが大勢のグループの上だったとか。

そんな悟も姉貴には頭が上がらない。

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